セイフティ式の螺旋部製作 AURORA 1920's

セイフティ(安全操出し式)万年筆の修理をご紹介します。アウロラの18金張りのボディのペンダント型です。セイフティとは初期の万年筆の1つで、スポイントでインクを入れる方式です。要修理箇所は①軸内部の主要メカである螺旋部の破損(折れています)、②螺旋とニブキャリアーを繋ぐクロスピンの欠損、③パッキンホルダー内にあるシーリングコルクの交換、④インクが胴軸とパッキンホルダーの繋ぎ目から滲み出る場合は、挽き合わせをする・・・と多岐に渡ります。

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余談ですが、ご覧のようにかなり小型な万年筆です。尤もセイフティ式その物が小型万年筆に向いた方式とも言え、各社数多くのショートタイプがセイフティ方式で作られました。この万年筆も、ペンダント型です。

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それでは作業に入ります。胴軸を開けてペン先ユニット、螺旋部を取り出します。螺旋部がポッキリ折れています。これでは、ペン先を繰り出しする事が出来ず、使えません。接着箇所が僅かな上、”繰り出し”という動作の力が加わる構造上、まず接着は無理です。かりに接着しても、すぐまた外れてしまいます。という訳でこのような修理の場合、螺旋部をそっくりそのまま作って直す事になります。。

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外径、内径、全長を測り同じ寸法にエボナイトで製作します。でも轆轤で出来るのは、僅かここまでです。この角度に螺旋溝を彫る事は、轆轤では出来ません。そしてここからは地道な手作業が待っています。

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位置決めに印を付けた個所すべてに、ドリルで穴を空けます。そして次にハンドグラインダーで削りながら、穴と穴を繋いでいきます。

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ここからは本当の手作業です。荒削りの終わった螺旋部に、ヤスリでよりオリジナルに近い形に整えていきます。この作業が最も時間を要します。

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無事、螺旋部が完成しました。ペン先ユニットが滑らかに上下するように、実際には最後の方に、ペーパー等で仕上げ磨きを行います。ところで前述のようにこの万年筆にはニブキャリアーと螺旋部を繋ぐクロスピンが欠損しています。

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クロスピンを削り出して作ります。

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胴軸下端の溝に、作ったピンが入るか確かめます。写真のようにピンが左右の溝に入り、これで真っすぐ上下に動いて、ペン先が繰り出されるのです。

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ニブキャリアー、螺旋部が繋がりました。

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正常な状態で、胴軸と首軸を取り払うとこんな姿になります。

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エンドノブを外してパッキンホルダーの中にある古いコルクを取り出し、新しいパッキンとスペーサーを埋め込みます。インク止め式やプランジャーと同じく、ここでインクが後ろに回らないようになっています。手前は、取り出した古いコルク。

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すべてのパーツを元通りに組み直します。写真はペン先が完全に中に引っ込んでいる状態です。ここからいよいよペン先繰り出しのチェックです。

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尾栓をゆっくり回して、スルスル~とペン先が顔を出し始めました。

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ペン先が定位置まで出て止まりました。今度は実際にインクをスポイントで充填し、胴軸とパッキンホルダーの繋ぎ部分からインクが漏れないかをチェックします。滲み出た場合は、インク止め式の修理の要領で、双方の面を綺麗に刃物で削って食い止めます。カンナで裏が透けるような削り節を出すのに似ています。

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修理が完了しました。

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インク止め式 コルク交換① S.S.S./サンエス

インク止め式万年筆のコルク(パッキン)交換の様子をご紹介します。今回は一般的なインク止め式ではなく、戦前のスワン(日本版)やサンエスによく見られる、コルク室の無い旧規格です。インク止め式は胴軸に直接スポイトでインクを入れ、中の中芯(ロッド)を下げてインクを流れるようにしたり、反対に止めたりする構造の万年筆です。そのインクを、中芯に被せたコルクパッキンで漏れないようにしてあります。コルクだから当然、数年で劣化してインク漏れを起こします。

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それでは分解して作業に入ります。胴軸内の中芯と尾栓を外し、そして中芯を胴軸から取り出します。通常止め式は、写真の胴軸下部の尾栓受けねじの中にコルクが入っています。そのコルクがシーリングの役目を果たし、下からインクが漏れないようになっています。このコルクが劣化するため、数年おきに交換する必要があるのです。

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ところがこのサンエス型は、コルク室にコルクが入っておらずコルク室そのものが中芯用の貫通穴があるだけのダミー(1ピース)です。この外したなんちゃってコルク室の奥に、特大コルクが入れられています。しかし依頼品はそこにもコルクが入っておらず、Oリングと他のゴムパーツが出て来ました。依頼者さん、自ら取り付けたとの事。一応これで水漏れは解消されているのですが、逆に中芯の動きが硬く、それを修理技術でのOリング取付を依頼されたという訳です。正直、愛好家・マニアの方でここまで出来るのは、凄いと思います。

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さてここからが、本当の作業の開始。前述のゴム類をすべて取り外し、ダミーと同じコルク室を作ります。インク止め式万年筆を製作するのと同じ要領で、無垢材から削り、ねじを切って接着します。 

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胴軸への取り付けが済んだら、本来のコルクに代わるOリング、そして中芯を入れるための穴を掘り、最後に蓋用のねじも切ります。白い物が、シリコン製Oリング。絶対に腐らないので、半永久的でGoo!

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もちろん留め蓋も作ります。コルクに対してOリングは高さがないので、その隙間を埋めるべくスペーサー一体型の蓋ゆえ、(蓋が)T字型、いや土管型にしました。普通のインク止め式のコルク蓋にはない、マイナスドライバー用の溝を入れます。Oリングでメンテナンスフリーの積りですが、それでも何かあった時のため容易に外れるようにです。

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こういう事です。

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サンエス型の旧規格でなければ、Oリング用の内径調節(広げる)~ねじ蓋製作までは同じ工程です。後はドライバーで蓋を閉め、中芯を胴軸反対(上)側から挿し込み、尾栓に取り付けます。今回の記事はインク止め式ユーザーでないと分かり難いかも知れません。いずれ、コルク室にコルクの入った(これが普通)一般的なインク止め式の修理をご紹介します。

インクビュー付き万年筆の胴軸作り Pelikan 101N Tortoiseshell Brown

ペリカンのアンティーク万年筆(1930年代後半)を直します。胴軸のキャップ受けネジ、丁度書く時指が当たる部分に亀裂が入ってしまった物です。内部のインクが見えるオリジナルの透明軸は、セルロイド製で非常に割れやすい素材なのです。

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見事にネジを縦に割る感じで、大きな亀裂が見られます。この万年筆は吸入式で、ペン先から吸い上げたインクが、直にこのグリーンの透明軸内部に入ります。よってこの亀裂個所からインクが滲み出て、手が汚れてしまいます。残念ながらここを接着しても、内部で力が加わるため、ほとんどの確率でまた傷口が開いてインク漏れを起こしてしまいます。それにここまで外ネジが傷んでいると、接着痕を完全に消す事が出来ません。=見てくれも悪くなる。という訳で、今回は首軸から下の胴軸部分をすべて作ってしまいます。 ※もっとも今回の依頼主様は始めから製作のご注文でした(笑)。

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作業開始。べっ甲柄のスリーヴ、そして首軸を慎重に取り外します。特にスリーヴは非常に薄いため、下手するとあっという間に割れてしまいます。→外れました。

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今回はインクビューも再現しなくてはならないため、透明アクリルを使って削り出します。上はカットしただけの無垢材、下はパイプ状に穴開けした物。当然、まだこの時点では刃物傷で曇って見えます。

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内径を吸入弁がぴったり収まり、且つスムーズに作動するよう傷取りを行います。更に透明度=外からの視認性を上げるため、仕上げの磨きを行います。上(首軸)・下(吸入機構パーツ)用の内ねじ、そしてキャップ受けの4条ねじと合計3か所ものねじを切ります。左側の黒く見える個所は、首軸装着時のひび割れを防ぐために埋めたエボナイト。このように、オリジナル以上に強度を向上させます。最後に水洗いしたのが、下の写真です。透明度の仕上がり具合は、明かりに当てて反対側を見てチェック。

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以上の工程で胴軸が完成。修理として機能的にはこれで充分ですが、ここからが今回のハイライト。破損したオリジナルに少しでも近い雰囲気を出すため、同じグリーンの塗料を使って染色します。★ここでオリジナル軸にもう一度登場して貰いましょう。塗料と水の配合でもう少し濃く出来ますが、恐らくはオリジナルの方が経年とインクでここまで汚れてしまったようで、新品当時はずっと明るい色だった事になります。

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このままスリーヴパーツを被せると、べっ甲柄も表からやや透けて見えてしまうので、やはりオリジナルと同じように膜状のテーピングをします。当然、軸はこの時の厚みを考慮した外径に削っています。

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べっ甲柄スリーヴを被せ、首軸を取り付けて胴軸の製作は終わりました。

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最後に吸入弁を取り付けて、水やインクの吸入・排出のテストを経て終了。

これからも長く愛用していただければと願うばかりです。

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ボールペンの修理 PARKER DUOFOLD Godron Gold

パーカーのボールペンの修理依頼が来ました。1990年代初期のデュオフォールドです。

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お問い合わせでは、「回転して繰り出すタイプなのですが、芯が途中までしか出ない。代理店でも修理不能で断られた」との事です。デュオフォールドは現在でも発売されていますが、モデルチェンジして構造が異なるのでしょうか? このモデルの部品がもう、終了しているとは……。

ご依頼のペンが届いてい見ると、確かに芯(リフィル)が少ししか出ません。

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ところが上部の回転つまみを回すと、伸縮の動きはしっかりしており違和感を感じませんでした。直感で内部のメカはちゃんと機能していることは分かりました。不思議に思って、軸を分解して原因がすぐ分かりました。内筒の樹脂パーツが割れて、完全に分離していました。試しに元に戻して外側から指で押さえると、リフィルは通常の位置まで出ました。結論、芯が途中までしか出ないのではなく、口金が外れかかって少し前に移動してしまっていたのです。

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軽く接着された内筒全体を、力加減に最大の注意を払いつつゆっくり取り外します。取り外すのに、結構時間が掛かりました。そして内筒の寸法&構造、上下ネジのピッチを計測し、2通りの修理方法を挙げました。

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①接着して機能させる → 安く出来ます。(大丈夫だと思いますが、再び外れないという保障はありません)

②内筒全体を製作する → オリジナルより丈夫に仕上げられます。

 以上の2点をお客さんにお伝えしましたところ、安心の②を選ばれました。

白いテープの方は、破損したオリジナル。もう一方が、新たにエボナイトで製作した物になります。

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金属のバレル(外筒)以外のパーツを仮付けして、機能チェック。リフィル先端が通常の位置まで出る事を確認したら、後はすべてのパーツを組み直して、完了。

将来もしもの事を考慮し、作った内筒は接着せず圧入で金属の外筒に装着しました。もちろん外径をぴったりにしてあるため、通常使用でまず抜ける事はありません。これで普通にお使い頂けます。

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とても変わった依頼品 Dunhill-Namiki

高級蒔絵で知られるダンヒルナミキ(1930年代)製品の修理依頼を受けました。といっても、今回は万年筆でもペンシルでもありません。つまり筆記具ではない、とても変わった物です。

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この短い葉巻型の胴にあたる下側を開けると、ネジ上の縁が派手に欠損しています。

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これをご依頼通り、本来の形に修復・復元します。

修理方法が決まったら(これが結構時間掛かります)、先ずは破損個所の切断から。

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そして土台となる材料(エボナイト)を足すための加工に入ります。埋める材料に合わせて、内径を広げながら少し掘ります。建築の基礎固めに当たりますね。

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足して接着した材料を、破損個所から採寸した通りに穴を空け内径を広げます。最後に縁部分を削って元の形通りに整えます。後は研磨作業を残すのみで、一先ず完了。

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納品後、持ち主(海外)の方から以下の写真を頂きました。実はこれ、シガレットホルダーだったのです。通常お受けするのはもちろん筆記具のみです。しかしその方からは過去何度か万年筆の修理を依頼されており、同じ技術で対応出来るのでお引き受けしました。

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ペン先の”癖取り”について

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当ホームページのメニューでもご案内の通り、万年筆のペン先”癖取り”について、ご説明致します。平たく言えば、癖取り=書き癖を取り除いてニュートラルな状態に戻す事。その癖取りの度合いにもよりますが、新品でお店に売られている(に近い)状態+αを基本に考えています。つまりまだ使われていない、メーカー出荷の検品&調整から上がった状態です。お店で新品の万年筆を試し書きしてから買われた方なら、お分かりと思います。許容範囲内の角度&筆圧で、特に引っ掛かりを感じることなく、スラスラ書けますね。後はインク出やペンを握る位置・角度、バランス、デザイン、総じてアタリ・ハズレ等々で選んで行く事になると思います。

一方アンティークを含む中古品を入手して使うとなると、それこそペンの状態は1本1本すべて違う訳です。ペン先に至ってはより過去の持ち主の書き癖が現れます。

今回の癖取りのご依頼品は、1950年代の所謂アンティーク万年筆。直接工房に持ち込まれ、対面での研磨・調整でした。従って直にご本人様からお話を伺い、ペンの持ち方を見ながら対応出来る訳です。「悪くはないけど、自分の持つ位置ではどうも滑りが良くないんです。そのせいか、万年筆は気に入っているのに入手してから何年も使っていません」 実際にお客さんの言われる角度で書かせて貰い、すぐ分かりました。

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ご覧のように、ペンポイントが左右ほぼ均等に、ある角度で摩耗し”面”に近い状態でした。かなり寝かせて書くと、見た目以上に太い字がスラスラと書けます。前の持ち主がどのような使い方をされたかを書くのは、今回のここでの目的じゃないので省きます。いずれにせよ、かなり癖の付いた例です。

 

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ペン先研磨機でペンポイントを少し削って、癖取りを行います。写真は中工程です。最初の粗削りと仕上げ研磨もあります。

 

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1回目の仕上げが終わったところです。少々角張った面が、やや小さく丸くなりました。後はインクを付けてお客さんに試し書きして貰い、ご希望を聞きながら微調整を繰り返します。OKが出たところで、癖取りの作業は終わり。

後日お客さんから頂いたコメントがあります。

「前の方の癖に合わせて書いていましたが、くせとりをしていただいたあと
あー、無理していたんだな、と感じました。
まるで体の不調が治った後で、あんなに痛かったんだなあ、というような感じです。

これからは自分の角度、くせを徐々につけていくのが楽しみです」

喜んで頂けて良かったです。なお冒頭で”お店に売られている状態+α”と書いたのは、癖取り研磨後の、お客さんに合わせた微調整を意味します。もちろん発送でのご依頼も承ります。対面での調整と比較すればどうしてもこちらに制約はありますが、+αの前の基本は同じです。

さて癖取りが可能な条件としましては、研磨して形を整えられるだけの最低限のペンポイントが残っている事。それもこちらで判断致します。

参考価格

今回の調整料は¥2,500(税抜き)でした。

ティールペン先は¥1,500~です。 ※難易度や必要時間により前後します。

 

 

胴軸欠損個所の復元 : WATERMAN Sterling Silver

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アンティーク・ウォーターマンの鏡面仕上げの銀軸です。インクを吸入しないこと、それ以外に大きな問題が・・・・・・。

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胴軸の外ネジが一部大きく欠損しています。このため、首軸を挿し込んでもグラグラと安定せず、とても通常筆記ができません。

作業開始。まずは破損個所から下をスッパリ切断します。次に残った胴軸内部のプラスティック製内筒(うちづつ)を、掘り起こすかたちで深さ7㎜程をさらいます。接合の糊代の役目もあります。

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そして新たに材料を埋め(接着)て、元の内径に穴を掘り、切断したネジ部分と同じ形に削って形を整え、最後にネジを切ります。

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首軸を元の位置に挿し込む前に、この時点で最後の微調整が必要です。緩過ぎず、逆に硬くて挿入し辛いと又割ってしまう恐れがあります。また割れなくても、首軸がきつ過ぎて外れなくなる何てことも。そして全体の洗浄、研磨作業になります。

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ペン先一体の首軸を挿し込み、ひとまずこの修理は完了。この後サック交換が待っています。この工法は、特にアンティーク筆記具のボディ破損にあらゆる応用ができます。間違いなくオリジナルより丈夫になったので、しばらく安心してお使いいただけると思います。