ボールペン口金製作 / Pelikan K320 Orange

軸の先端が割れたペリカンの小型ボールペンで、金属の口金(くちがね)も紛失してしまっています。百貨店経由でメーカーから修理不能と断られたそうです。つまり同じ色のパーツそのものをストックしていないのだと思います。

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近年のカラフルなレジンは衝撃に弱く、同じモデルでもどうしても黒などのAS樹脂等より割れやすいきらいがあります。特に小さければ肉薄ゆえ、より衝撃に不利な訳です。依頼されたボールペンは、回転の芯出し入れの機能は壊れていませんでしたが、1cm程先が無くなって宙ぶらりんな状態でした。

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まずは完全な平面が出るまで、=傷の一番深い部分まで削って整えます。そしてこれから作る口金を内部で受けるための、凹状のスペースを設けます。

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ご依頼を受けた時は、エボナイト等の樹脂で切削・接合して対応する積りでした。しかし、このカラフルなオレンジ色を見て気が変わりました。お客さんからは了承を得ていたとはいえ、オレンジの先っぽが”黒”というのはもう少し何とかしたいと思い直したからです。そこでなるべくオリジナルに近づけるべく、真鍮で製作することに変更しました。当然この小さなパーツでも、樹脂と金属では後者の方が加工難易度が高く時間もかかります。

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胴軸にぴったり収まるところまで削ったら、反対側にチャッキングし直します。見本用に同じ形のペンがある訳でもないので、ウェブの写真を見てほぼ想像で再現するしかありません。

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完成後、センター(穴の位置)がずれていたらカッコ悪いので、リフィル先端の穴は最後に開けます。使用するドリルは0.05mm単位のサイズ違いの規格で、例えば2.35mmの次は2.40mmという具合です。このドリル選びがリフィル先端脇のスペースを、つまり安定した書き味を左右します。当然狭いほど安定する訳ですが、ぴったり過ぎると芯の出し入れが硬くなってしまいます。

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口金の削りが終わったら仮装着して収まり具合、芯を出した時の見た目の位置を確認します。

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後は金メッキ処理、接着で完了となります。

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ペン先の修理・変形矯正

2本のペン先曲がりの万年筆を採り上げます。先ずはMontblanc 221から。見た目はそれほど変形している訳ではありませんが、明らかに先端が両方とも歪み、結果として引っ掛かり・インク切れを起こしていました。

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専用のヤットコ数種で曲がった左右を整えます。大まかな形に修復できたら、鉛の槌で細かい曲がりを裏側・表面と交互に少しずつ叩いて直します。

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一旦ヤスリ掛けをして工具による表面傷を磨きます。

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研磨後、バフ掛けをしました。洗浄後再び首軸にセットしたら、インクを付けて仕上げの調整を行い完了。

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次はPARKER 75 セレクトのペン先直しの工程写真です。床に落として大きく”くの字”に曲がってしまっています。

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もちろん、全く欠けない状態です。

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これは槌で叩く作業は最低限に留め、ほぼヤットコでのお直しでした。一応形はほぼ修復出来ましたが、工具の痕が表裏に残っています。

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 モンブランと同様に数種のヤスリで慎重に研磨し、修復痕を消していきます。 

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バフ掛け。まだ細かい傷が残っているため、目の細かいヤスリで残った傷部分のみ掛け直しを行います。

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目立つ傷がほぼ消えたら、洗浄して本体に取り付け直します。インクを付けて筆記調整を終えて完了。

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今回変形直しを行った2本、実はモンブランの方が時間と手間が掛かりました。変形が小さい方が簡単に早く直る印象を持たれるかもしれませんが、実際はそうでもないのです。小さな変形の方が大変な場合もある等、ペン先矯正は一筋縄ではいきません。ペン先が変形する要因は色々ありますが、くれぐれも硬い床への落下にはご注意ください。残酷なことに万年筆って、ペン先から落ちるんですよね。

 

 

コンクリン、セイフティリングの修理 / Conklin Filigree

コンクリン・クレセントフィラーの大修理です。1920年代のオリジナル・コンクリンで、フィリグリー(透かし彫り)版です。お預かりした時は、唖然としてしまいました。まあ~エラい状態でした。

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サック交換の際に失敗したのか、胴軸のネジ周りが2ピースも欠損。そしてコンクリンの代名詞、クレセントバーを固定させるセイフティリング(ロックリング)も欠損という有様でした。今回のようにダブルで来るとは珍しいです。

 

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依頼主の方はもちろんこの状態で入手されたのですが、いつのオーナーが取り付けたものか、セイフティリングの代替パーツが付けられていました。恐らくちゃんとロックの機能は果たしていたと思います。何かのパーツから拾ったのか、はたまた薄い銅板から作ったのかしっかり補修されていたのには感心してしまいました。

 

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まず代替リングを取外し、破損した胴軸の一部をカットします。そして継ぎ足し用の胴軸上部を作ります。完成した姿は後ほど登場します。

 

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セイフティリングをオリジナルと同じ形に作ります。凡そ4年振りですが、工房に残っていた過去の失敗(もちろん自分💦)の残骸を見本にします。厳密には前回のクレセントフィラーは一回り大きい軸だったため、今回のために縮小版を作ることになります。手順はリングを作り、横溝の装飾を入れ、クレセントが通る溝をノコで切ります。写真はその工程を終えて、切り込んだ溝の表面を一部平面にすべくヤスリで仕上げているところです。

 

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仕上げの研磨を除けば、形はほぼオリジナルと同じになりました。

 

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完成。下の物が使うパーツで、上はすべて失敗(1個見本を含む)。

 

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胴軸に仮付けして見ます。クレセントレバーの穴に対し、セイフティリングの切れ込み幅が若干広く気に入らないので、一旦また作り直します。でもイメージは掴んで頂けたかと思います。 ※なおリング脱着の際は熱で膨張させてから行うのが基本です。アンティーク(オリジナル)の場合は尚更で、経年+乾燥したエボナイトのリングはこれをやらないとすぐ割れてしまいます。今残っているアンティーク・コンクリンでリングがない物は、後のオーナーやコレクター諸氏が割ってしまった事が十分考えられます。

 

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リング、ストッパー機構の修理完了しました。プレス吸入後は、このリングを回転させて切れ込みを移動させ、クレセントが下に動かないようにする単純な仕組みです。それでその名の通りセイフティリングという訳ですね。

 

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先に作って接合した胴軸。

 

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首軸にサックを取付け、すべての修理が完了しました。

 

 

 

首軸製作 / PARKER 75

これまでパーカー75の首軸リング製作の修理は2度ばかりご紹介して参りました。しかしインク漏れや付着のもう一つの原因は、グリップ部である首軸そのものの変形や破損です。75の首軸破損、特にクラックの場合は他の万年筆のように接着で直ることはほとんどないと言えます。そうなりますと、パーツを入手して首軸ごと交換が一番手っ取り早いのですが、廃盤になって20年は経つモデル故、メーカーも対応していません。それに中古パーツ単体の入手も簡単ではありません。

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見事に大きなクラックでパックリ割れて、内部のコレクターのフィン(インク溜まり)が丸見えの状態です。これは樹脂の経年痩せにより自然に発生したひびです。まず接着では塞げません。

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ペン先ペン芯一体ユニット、前述のコレクターそしてリングを再利用して首軸本体を製作する方法を採ります。取り外せるパーツはすべて外し、コレクターは削って取り出すしかありません。基本的な作業の流れは、以前ご紹介したパーカー45とほぼ同じです。

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これがコレクターという重要なパーツ。ペン先ペン芯ユニットを中で固定し、ある程度の量のインクを保持し、更にカートリッジ&コンバーターの取付け口とも一体となっています。
※正確にはペン先ユニットを固定するのは、コレクターの更に上にあるブッシュです。

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カートリッジの取付け口=穿刺チューブ側から。余談ですが、パーカー75が幾ら水洗いしても、なかなか首軸内部のインクを落とし切れない理由は、ペン芯と別体のこのコレクターが入っているからです。内部で一旦フィン全体に溜まったインクは、水の吸入・排出では届きにくい部分もあるようです。

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首軸の製作に入ります。リング受けの外ネジ部分を切りました(手前)。

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リングを仮締め。

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ここからが45にはない指の当たる窪み加工。轆轤では加工できない形状で、丸い砥石を回転させて窪みを3か所彫ります。回転砥石に対し、首軸を手で持って当てるので、最も神経を使う作業です。当て方を間違えると、窪みを均等な3分割に出来ません。例えば窪み2か所の位置が近すぎると、残りの1ヵ所だけ離れた歪な形になってしまいます。折角轆轤でここまで削り出したのがパアに・・・・・・。

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作った首軸を磨き、洗浄し終えたらすべてのパーツを取り付けて組み立てます。

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セッティング完了。

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モニターインクを入れ、数日様子を見て安定して筆記が出来、かつインク漏れがないことを確認出来たらようやく完成(修理完了)となります。首軸がエボナイトなので、オリジナルより丈夫になりました。

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万年筆製作日誌 / 竹軸インク止め式

前回に続き似たような竹風のストレート型、それもインク止め式の製作をご紹介します。竹+インク止めとなると、弊工房としましても最も製作難易度が高い万年筆の一つです。

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どの軸を製作する場合もそうですが、無垢の材料からドリルで下(した)穴をあけると結構なクズが発生します。

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4条ネジを切って、首軸を仮締めしたところ。

 

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青緑の軸も同様に。

 

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ここはパッキンユニット。

 

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パッキンとナットを入れる穴を空け、尻軸と接続させる外ネジを切ります。

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尻軸とネジで接続

 

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パッキンのナットを製作

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パッキンを入れ、先ほど作ったナットを閉めます。

 

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すべてに尻軸(一番下の節)を取り付け、胴軸が完成。

 

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キャップ側の製作。胴軸に被せる4条の内ネジを切ります。

 

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胴軸との締り具合を確認+微調整

 

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キャップ完成。次に装飾加工である、節と節の間を湾曲に削る最も困難な作業です。

 

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外径削りが完了しました。

 

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次にインク止め式に欠かせない、中芯作り。Φ3mmのエボナイトの中に、折れ防止用のピアノ線が入っています。

 

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中芯後軸をテーパ状に少しだけ削ります。

 

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尻軸内部と接続させるための、逆ネジを切ります。この工具は特注です。

 

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先ほど入れておいたパッキンに中芯を通し、そしてやっと尻軸と繋ぎます。写真はペーパー研磨を終えた状態。

 

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インク止式なので、取付けが終わったら胴軸に水を入れて、バルブ(尾栓)開封によるインク出/インク止の試験を行います。

 

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バフ掛けを行い、水洗いして完成!

 

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万年筆製作日誌 / 竹軸両用式

お得意の業者様から、竹節風の万年筆の製作をまとめて頂きました。2種類のエボナイトにカートリッジ式とインク止め式と合わせて10数本! 今回ご紹介しますのはカートリッジ式版です。

先ずは材料の棒材から、各部位のカットをします。カートリッジ&コンバーター両用式なら、キャップ・首軸・胴軸・・・といった具合に。これは竹節のデザインのみならず、普通の形の万年筆でも同じです。

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結構端折りましたが、首軸の製作から。

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竹の形に削る前に、節ごとの位置決めをします。刃先を軽く当てて、丸印のように刻みます。後は決めた溝をより深く掘り、次に真ん中をえぐるように、真っすぐな表面を弓なりに削ります。写真は竹形に削る前と後を並べたものです。

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ここで湾曲に削る刃物=キシャゲに登場頂きましょう。普通の形の軸にも使う、首軸用のキシャゲです。元々は真っすぐな形をしていた刃物ですが、首軸や竹節用にグラインダーや専用砥石で削ってこのような形に作ります。

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キャップのとば口からネジ切りを行っているところ。つまり胴軸の受けネジになります。

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ネジを切り終え、胴軸とネジで繋がった様子です。

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すべて削り終わりました。左側がキャップになります。

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キャップを後ろにポスティングした筆記のスタイル。

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削りが終わった段階では、まだ軸全体に刃物傷や材料の粉が付いたままです。

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ペーパー研磨、バフ研磨、そして水洗いを経てようやく軸が完成しました。

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セイフティ万年筆の修理(スタビライザー交換) / SOENNECKEN

 古いセイフティ万年筆(ドイツ:ゾーネケン)の修理とメンテナンスを行いました。スポイト式の相当昔の万年筆の割には非常に状態がよく、決定的な故障・破損は特に見られない1本です。お客さんからはお任せの形で、使える状態に持って行きます。修理とメンテの半々でした。

 

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胴軸下部のパッキンユニットを取り外します。ご覧のように、金属のクロスピンで留められています。セイフティ万年筆は、初期の万年筆のデザインの一つなのですが、細かい仕様の違いを除けば基本的な構造はメーカーは違えどほぼ同じでした。

 

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胴軸と尻軸の間に来るコネクター(左)内部に、シーリングパッキンであるコルクが入っています。ここで、後ろからインクが回って外に漏れないよう、シーリングされている訳です。中芯が上下しない横回転のみですが、シーリング自体はプランジャー式やインク止め式と同じになります。

 

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コルクを取り外しました。

 

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コルクの代わりに取り付けるOリングの外径に合わせ、内部を少し削って加工します。

 

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グリースを塗布したOリングを埋め込み、再び尻軸をピン止めしてパッキン交換は完了。

 

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これはキャップの天ビスを取り外した裏側です。ペン芯を固定するスタビライザーがかなり腐食しています。

 

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今の万年筆の感覚だと、キャップ内部の頂点にこんな長い針金状の物があったら、ペン先ユニットが入らないか滅茶苦茶に傷つけてしまうと思われるかも知れません。実はこれ、ペン芯裏に開けられた細い穴にピッタリとはまり、筆記以外の状態のペン先とペン芯の横揺れ防止になります。

 

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しかしここまで腐食した状態では安定感を欠き、ブレを防止する機能が働きませんので、パッキン同様に交換してしまいます。引っこ抜くと、天ビス側に取り付けられた側は、ヤリのように尖っていました(これも腐食の結果)。

 

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新しいスタビライザーを、同じ外径のピアノ線からカットして取り付けます。

 

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再び天ビスをクリップと一緒にキャップスリーヴに取り付けました。もちろん、ペン芯裏の溝穴に問題なく収まりました。すべてのセイフティ式にスタビライザーが付いているという訳ではなく、初期のモンブランや一部のメーカーです。セイフティを最初に出したウォーターマンには採用されていませんでした。