高級蒔絵で知られるダンヒルナミキ(1930年代)製品の修理依頼を受けました。といっても、今回は万年筆でもペンシルでもありません。つまり筆記具ではない、とても変わった物です。
この短い葉巻型の胴にあたる下側を開けると、ネジ上の縁が派手に欠損しています。
これをご依頼通り、本来の形に修復・復元します。
修理方法が決まったら(これが結構時間掛かります)、先ずは破損個所の切断から。
そして土台となる材料(エボナイト)を足すための加工に入ります。埋める材料に合わせて、内径を広げながら少し掘ります。建築の基礎固めに当たりますね。
足して接着した材料を、破損個所から採寸した通りに穴を空け内径を広げます。最後に縁部分を削って元の形通りに整えます。後は研磨作業を残すのみで、一先ず完了。
納品後、持ち主(海外)の方から以下の写真を頂きました。実はこれ、シガレットホルダーだったのです。通常お受けするのはもちろん筆記具のみです。しかしその方からは過去何度か万年筆の修理を依頼されており、同じ技術で対応出来るのでお引き受けしました。