ホワイト・ドットを作りました / SHEAFFER Targa BP Sterling Silver SV

シェーファーの永遠のオーナメントであるホワイト・ドットが欠損したボールペン。そのホワイト・ドットの製作依頼です。見事にポロっといっちゃってます。アンティークから今日のモデルまで、ホワイト・ドットは見た目にはそんなに違いはないようにも思えます。ところが、他のモデルから付替えようにも微妙に形や大きさが異なり、流用が利かないそうです(依頼者様談)。表面に来るホワイト・ドットはいいとしても、取り付ける脚部分が細すぎたり太すぎたり、なかなか合いません。

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白い材料って、意外にないものです。この小さなパーツを作るために、DIYショップでΦ5 x 1000mのABS樹脂材を買って来ました。見本でお預かりした同じシェーファーの年式違いのモデルを参考に、製作します。

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表面の外径は約Φ2.3mm、脚部分の外見なんて1.7mmぐらいですよ。シンプルな形ですが、あまりにも小さいので難儀しました。写真のチャックは切削するためではなく、バフ研磨するための物です。このチャックだって外径1cmそこそこでかなり小さいのです。つまりこのチャックを持ち手にしないと、バフ掛けで確実に吹っ飛んでしまいます。例えちっちゃな物でもバフは3種類掛けます。小さくて目立たないからと研磨を疎かにすると、それだけでペン全体にメリハリが出ないか、客さんを落胆させてしまい兼ねません。

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磨きが終わって、取り付けました。ぐっと押し込んで簡単に抜けない程度に(脚を)作りましたが、念を入れて接着します。大した事ではありませんが、取り付けて見るといつもの見慣れたシェーファーの雰囲気に戻りました。←これ、大切ですね。

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このホワイト・ドットが無くても機能的には一切関係ないのですが、しかしこれを態々依頼された持ち主様のお気持ちは、よ~く分かります。アメリカの専門店ではホワイト・ドットのみを数十個袋に詰め込んだ物も売られていますが、結構お高いです。もちろん、コレクターには十分需要があるのでしょう。

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こんな小さなパーツでも、結構労力が要りました( ´Д`)=3 フゥ 前述のように削りは難しくないのですが、削るために轆轤に持たせるチャッキングが大変です。作り難さと無くし易さで、この労力はオノトの留めピン(外径Φ1.15mm!)やレバーフィラー式のレバー固定用ピンといい勝負です。今回のホワイト・ドット、結局3個作りました。1個目は脚部分を削り過ぎて、クリップの穴に仮付けするとスカスカに。2個目は、運悪く花粉症の季節だったこともあり、くしゃみ一発で行方不明。3個目の正直で完成と相成りました。でも結果的に、シェーファーのホワイト・ドット作りは安定して引き受けられそうです。