コンクリン、セイフティリングの修理 / Conklin Filigree

コンクリン・クレセントフィラーの大修理です。1920年代のオリジナル・コンクリンで、フィリグリー(透かし彫り)版です。お預かりした時は、唖然としてしまいました。まあ~エラい状態でした。

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サック交換の際に失敗したのか、胴軸のネジ周りが2ピースも欠損。そしてコンクリンの代名詞、クレセントバーを固定させるセイフティリング(ロックリング)も欠損という有様でした。今回のようにダブルで来るとは珍しいです。

 

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依頼主の方はもちろんこの状態で入手されたのですが、いつのオーナーが取り付けたものか、セイフティリングの代替パーツが付けられていました。恐らくちゃんとロックの機能は果たしていたと思います。何かのパーツから拾ったのか、はたまた薄い銅板から作ったのかしっかり補修されていたのには感心してしまいました。

 

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まず代替リングを取外し、破損した胴軸をカットします。そして継ぎ足すための胴軸上部を作ります。完成した姿は後ほど登場します。

 

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セイフティリングをオリジナルと同じ形に作ります。凡そ4年振りですが、工房に残っていた過去の失敗(もちろん自分💦)の残骸を見本にします。厳密には前回のクレセントフィラーは一回り大きい軸だったため、今回のために縮小版を作ることになります。手順はリングを作り、横溝の装飾を入れ、クレセントが通る溝をノコで切ります。写真はその工程を終えて、切り込んだ溝の表面に平面にすべくヤスリで仕上げているところです。

 

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仕上げの研磨を除けば、形はほぼオリジナルと同じになりました。

 

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完成。下の物が使うパーツで、上はすべて失敗(1個見本を含む)。

 

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胴軸に仮付けして見ます。クレセントレバーの穴に対し、セイフティリングの切れ込み幅が若干広く気に入らないので、一旦また作り直します。でもイメージは掴んで頂けたかと思います。 ※なおリング脱着の際は熱で膨張させてから行うのが基本です。アンティーク(オリジナル)の場合は尚更で、経年+乾燥したエボナイトのリングはこれをやらないとすぐ割れてしまいます。今残っているアンティーク・コンクリンでリングがない物は、後のオーナーやコレクター諸氏が割ってしまった事が十分考えられます。

 

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リング、ストッパー機構の修理完了しました。プレス吸入後は、このリングを回転させて切れ込みを移動させ、クレセントが下に動かないようにする単純な仕組みです。それでその名の通りセイフティリングという訳ですね。

 

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先に作って接合した胴軸。

 

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首軸にサックを取付け、すべての修理が完了しました。