以前にもモンブラン3桁シリーズの首軸破損の修理をご紹介しました。
モンブランのカートリッジ式 首軸修理 / Montblanc No 221 - 筆記具工房のブログ
今回は2本の修理例をご紹介します。
1本は前回と同様、コネクター部の製作。そしてもう1本はコネクターと首軸フードの両方が破損してしまったため、どちらも製作した例です。
クラシックという、正確には3桁シリーズの流れを汲む1980年代のモデルから。
首軸先端に数か所ひび割れがあり、またカートリッジ・コンバーターを接続し胴軸の開閉のためのネジがあるコネクターが真っ二つに破断していました。依頼者様のご希望で、フード部は接着補修ではなく、新たに作ることになりました。2本とも前回との主な違いは、コネクターを透明アクリルではなく、エボナイトを削って作ったことです。
外側からインクは見えなくなりますが、引き換えに強度は確実に上がります。
右側が製作したフードとコネクターです。
白い窪みの部分に、ペン先とペン芯のユニットを装着します。
フードの形はかなり変わってしまいますが、オリジナルの成形品のような複雑な形には出来ないため、実用優先でこのようなデザインとしました。
すべて取り付けて完成です。
2本めはNo.221です。こちらもコレクターが真っ二つに割れてしまっていますが、フードは割れもなく問題ありませんでした。
クラシックと同じく、コネクター側をエボナイトで削り出しました。
上の突起のある白いパーツは穿刺チューブです。これ1つでペン先ユニットを載せ、反対側はカートリッジ/コンバーターを取り付けます。これはABS材から作りました。
オリジナルはコネクターの中に組み込まれた一体型ですが、これも成型のようには出来ないため、このように2つに分けて作る必要があったのです。
そしてコネクターと穿刺チューブを接着します。
これで前述の2つの役目+フード(首軸)にネジ装着出来るので、機能する訳です。
クランプリングと元のフードを取り付けて、完成しました。
余談ですが、ほぼ同じ設計(デザイン)のモデルだから、効率良く2本まとめて作業出来ると思ったのですが、”読み”は外れました。つまり3桁シリーズとクラシック(後のジェネレーションを含む)では、見た目がよく似ていても形やネジの規格といったものが異なり、共通パーツはゼロでした。なお、ペン先&ペン芯のユニットは互換性がありました。