胴軸の外ネジ(雄ネジ)が一部欠けた万年筆をお直ししました。今回2本とも”とば口”が同じ破損状態のデルタを採り上げました。
1本目はオールドナポリ。
首軸を閉めた時に底面が接するネジの上が、水平状に一部欠損してしまっています。
樹脂材を継足し、ネジ切りする方法が最も丈夫かつ確実なのでそれを実行します。
メタルの内軸に樹脂が接着されているので、元のネジ部全体を外側から削り取ります。
継足し用の材料を削り、ネジを切ります。
新たに継ぎ足すネジ部が完成したら、先ほど一部を削り取った胴軸に接着で取り付けます。
接着乾燥後、表面を磨いて完成しました。
2本目はかなり小柄なドルチェヴィータ・ミニです。前述のように、オールドナポリと同じ(破損)状態でした。
元の破損部分を削り取ります。
新しい材料にネジ切りをして、胴軸に接着・研磨を行い完了。
見た目は全く同じ修理に見えますが、ボディサイズがやや異なり、ネジの規格も違います。従って、使うネジ切り工具であるクシガマも別の物を使いました。
(かなりマニアックな)余談ですが、オールドナポリの方は万年筆には一般的なピッチの0.7(mm)でしたが、こちらのドルチェヴィータ・ミニは0.5(mm)+3条ネジ!
オーナー様にとってこのような破損は悲劇でしょうが、破損個所がこちらでも何とかなる黒の樹脂だったのが幸いでした。
※依頼者様は各々別の方です。