インクタンクの製作②  / AURORA Jubilaeum

以前にも採り上げたアウロラのピストン吸入式の、それも全く同じ壊れ方をした万年筆の修理を依頼されました。限定品のユビレウムというモデルです。ボディのデザインが異なるだけで(前回の)オプティマ型と内部構造はすべて同じ。と思いきや、外観のインク窓の大きさが違うだけでなく、リングを取り付ける位置から内部の寸法等もすべて微妙に異なる別設計であることに気付きました。当然、オプティマ型修理当時に作成したパーツ図面も流用できず、またゼロから計測し直さなければなりません。蛇足ながら透明インクタンクの形が違うのであって、吸入機構のパーツや、ペン先ユニット等は同じです。

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このメーカーの吸入式に共通の症状、インク窓の首軸との境目で真っ二つに破断してしまっています。

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ペン先ユニットを取り外した状態。穴の脇に破断した透明アクリル材の残りが見えます。

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首軸&胴軸内に残った、透明アクリル材をすべて削り終えました。ここで一旦作業を中断し、それぞれの内径や深さ、形状、ネジ位置・ピッチを計測し、それらを元に逆算するかたちでインクタンクの図面を起こします。

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図面を元に作ったインクタンク。上が予備、下がオリジナルの色に合わせて染色した物になります。ボディから僅かに見えるインク窓を挟む格好で雄ネジが見えますね。オリジナルも、胴軸・首軸の双方をネジ+接着で固定されていました。更に上のネジの裏側には、ペン先ソケットを止める雌ネジも切ってあります。この1体のパーツに、3か所もネジが設けられているのです。

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まずは胴軸側に接着で取り付けます。

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最後に首軸側にも取り付けて完成しました。

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接着が乾燥したら、水やインクを吸入してテストを行い、無事修理は終わりました。吸入量はオプティマと全く同じでした。前述のように、オプティマ型と同じ構造という先入観(勘違い)から思わぬ時間を要してしまいました。それでも、今回(も)作成した図面及び修理記録で、結果的にアウロラ修理対応の新たなレパートリーが増えて良かったです。それにしても同じメーカーでインクタンクの設計が若干違っても、壊れ方は全く同じなのですね。

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万年筆のインナーキャップ修理 / Montblanc #144

キャップがしっかり嵌合しない、というご相談の万年筆をお預かりいたしました。モンブラン144の一昔前のモデルです。首軸リングの腐食もやや進行した状態だったため、当初は嵌合が甘い(全く抵抗なし)のはこれが原因だと思いました。しかしキャップ内を幾ら洗浄しても、金属片が続けて出て来る点に違和感を覚えました。インナーキャップを取り外して見たら、樹脂製ではなく金属製で、しかもご覧のように腐食だらけの状態でした。言う間でもなくここまで進行してしまうと嵌合はおろか、インク機密の機能も果たせる筈もありません。

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年式は違いますが、同じ144の後年~現行共通の樹脂製インナーキャップを見本に、パーツを拵えて対応することにしました。

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樹脂を削って、作りました。最も神経を使うのが、首軸リングが収まる内径の調節です。一番手前に来る穴ですね。若干キツイ(硬い)うちは良いのですが、ちょっとでも削り過ぎると、緩くなって元の木阿弥。最初から作り直しです。嵌合式にも様々なタイプがありますが、このモデルの場合”パチン”というより、”スッ”といった感触が正常です。

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オリジナルとほぼ遜色ない収まり具合に仕上がったら、削りは完了。

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今回のメタル製インナーキャップを覗けば、樹脂の本体カバーとメタルのネジ受けの2体構造ですが、直接ネジ切りを行います。ペン先が収まる空間とネジ穴は貫通していないので、気密に影響は与えません。天ビスがきっちり閉まることを確認したら、出来上がったインナーキャップをキャップチューブに取り付けて修理完了となります。

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インク漏れの原因は・・・ / WATERMAN PRÉFACE

「筆記中にどこからかインクが漏れていて、手が汚れる」という万年筆の修理を依頼されました。ウォーターマンのプレファスでした。

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お預かりして点検してみると、確かにインクが指に付着します。金色のリングと、キャップ受けに当たるフランジとの隙間からでした。ルーペで見てもクラックらしき物が見当たらないので、ねじが緩んでフランジが浮き上がり、そこから入ったインクが原因と当初は疑いました。

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ところがねじ回して動く筈のソケットがすっぽ抜けて、写真のような状態で現れました! 明らかに、首軸内部でねじを残してソケットが破断しています。インクが首軸内側/ソケット側面を伝って漏れる原因はこれだったのです。

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工具を作って、内部に残った穿刺チューブ一体の破断したネジをよくやく取り出せました。

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この円周状の破断面を接着しても、ねじ着脱の力に耐えられる筈もなく、このユニット全体をそっくり同じに作るしかなさそうです。

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エボナイトを削って、ニブソケットが出来上がりました。

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いわゆる接着留めはやらず、作ったソケット側面にシーリング材を塗って、首軸に取り付けます。コンバーターを装着、インク吸入・排出の操作を行って、お預かり時のようにインクが滲出しなければOK。

修理完了です。

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繰り出し式ペンシル修理 / Alfred Dunhill AD2000

繰り出し式ペンシルの、全ユニット交換&コネクター製作という大修理を行いましたので、その記録を採り上げます。回転繰り出し式とは100年以上前に発明されたシャープペンシル黎明期の方式で、キャップチューブ側を回して芯を出し、反対に回して収納を行う機能です。この最も古い方式(当時はポピュラー)は極少数派ですが、高級品、とりわけ太軸を中心に今でも販売されています。

今回お直ししたモデルはダンヒルAD2000(ゴールドプレイト・バーリィ)のペンシルです。芯は0.9mm仕様。回しても芯が出ない上、収納された芯が取り外せません。繰り出し式は先端の口金から芯を装着させるため、一般的なノック式ペンシルのように予備芯で後ろから押し出すことができません。従って繰出し式の故障は本当に大変です! 内部の繰出しユニットを取り外せるモデルであれば、らせんの脇から詰まり芯を見ながら1つずつ外すやり方があります。しかしこのペンシルのようにユニットが接着固定されている物は、分解せずに先端から芯より少し細い針金で、新調に内部の芯を粉砕することから始めます。轆轤を使って、針金を回しながら芯をほぼ粉砕しましたが、回しても一向に動かず、空回りするのみです。

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結局、完全に内部を分解するしか方法がなく、しかもオリジナルのユニットを壊す形でしか手段がありませんでした。依頼主のお客さんに了承を得た上で、その作業を決行。それはオリジナルと同じユニットの在庫があり、元に戻せない場合はそれと付け替えるという最終手段があったからこそでした。

キャップチューブを抜いて最初に現れる消しゴムを外し、メタルファンネルの奥に最初に見える栓(青矢印)の頭が、唯一目視できるパーツです。これを専用に拵えた工具で慎重に引き抜き、ユニットの凡そ7割のパーツを取り外せました。この時点で黒い樹脂のカバーまで抜けましたが、肝心の口金型のコネクター等はどうしても外れません。雄ネジ(赤矢印)が、胴軸先端の内部で接着固定されていたから。余談ですが、今回繰り出し式特有のらせんは見えません。黒いカバーの内部がらせんになっています。

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同じく専用に拵えた工具で、力任せに捻ること数十分、ようやくコネクターの接着が溶けて内部ユニット全てのパーツが現れました。ガイド溝にある黒い部品は、芯の押出と収納を行うリードキャリアーです。やはりここに折り重なるように、折れた短い芯が3個ほどありました。 ※写真は芯の残骸を除去後

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先端の穴は芯を保持する部分。損傷して、もう芯を安定保持できない状態でした。

注)最初に芯粉砕で決して精密ドリルを使わないのは、このリードキャリアーを一発で壊してしまう危険があるため。

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ついでにリードキャリアーの上部も。本来真っ直ぐな細い棒が、つんのめったように曲がって浮きがっています。これは”追い出し”( expel part ) 部で、芯交換の際に短くなった残り芯を、文字通り完全に外に追い出す装置。繰出し式ペンシルを芯のない状態で回し切ると、口金から僅かに飛び出す細い物がこれです。以上がこのペンシルの故障の原因です。どの道、ユニットごと交換するので今回はリードキャリアーを直す訳ではありません。また近年(~現行)ではこんな小さなパーツなのに樹脂ゆえ、かなり華奢です。コストダウンとしか考えられません。そういう点では昔のリードキャリアーは主に金属製のため、遥かに丈夫ですね。

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これから取り付ける、新品の代替ユニットがコチラ。これを胴軸にそのままセットすれば、修理完了! ・・・・・・とはならず、もう一つの難関があります。

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ほぼ全て同じ設計なのに、先ほど取り外した金色のコネクターだけが異なるため、装着することができません。写真からは分かり辛いですが、取外しによりコネクターと(リードキャリアーを収める)サポートパイプ一体のパーツが変形破損して、これはもう使えません。新ユニットのコネクターを同じ形に削って同じ位置にネジを切る方法も試しましたが、流石に追加工は叶いませんでした。

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勿体ないですが、代替ユニットのコネクターを削り取って、一旦サポートパイプを単体状態にしました。次に無垢の真鍮材から削って、オリジナルと同じ形にコネクターを作り、サポートパイプを埋め込んで完成しました(下)。

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整理のため、並べて記念撮影。

新品の繰り出しユニット(上)、破損したオリジナル(中)、今回作った代替のコネクター(下)。

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胴軸に完成したユニットを接着取付けして、ようやく修理が完了しました。胴軸から出るコネクター先端は、長さにして1.6mm。取り付ける前に、先端部分は18Kメッキを施してあります。

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この通り回し続ければ、スルスル~と出ます。

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これと(ほぼ)同じ設計の繰り出しユニットは、他にもモンブラン・マイスターシュテュックNo.167や、デルタ・ドルチェヴィータ・ミディアム等にも使われています。ただしこれらはコネクターも同じ物が使えるため、修理の時はそこまで大変ではありませんでした。今回のダンヒルAD2000の方が、その分作業内容も大がかりでした。因みに繰り出し式と、同じ回転で芯が出る”ツイスト式”とは全く似て非なる物です。ツイスト式がノック式と同じ要領でカチッ、カチッとステップを踏むのに対し、繰り出し式は無段階です。

首軸ネジが分断したら・・・。 / Montblanc Meisterstück 144

モンブラン マイスターシュテュック144 (CF)の首軸が、ご覧のように胴軸と開閉するネジの所から破断してしまっています。これは(主に)カートリッジ式ならではの壊れ方ですが、首軸の修理ではある意味これが一番難しいです。例え接着してもネジをしっかり閉めようとすれば、止まる位置で破断面に、また握って書こうとすれば、当然同じ箇所にやはり結構な力が加わって、まず再び外れてしまいます。

ではネジを新たに拵えて、首軸に接合するやり方はどうか? それもこの種の万年筆には、ちょっと無理です。作ったパーツを接合するためには、ネジより上の首軸も削って接着面を設ける必要がありますが、すぐカートリッジ/コンバーターの取付け口=穿刺チューブがあるため、ここから上は刃物を当てられないのです。

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以上の理由で、今回は首軸全体を作ってしまう方法しかありませんでした。そうすればネジを含め一体型で、強度面でも安心です。

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さてもう一つ作らなければならない物があります。それは首軸先端側の装飾リング。これは装飾を兼ねた、キャップを安定して支える重要なパーツになります。キャップ内にあるインナーシールキャップとリング側面が触れて、キャップを固定する仕組みだからです。ところがリングの腐食がかなり進行していたため、外径もほんの僅かに落ち、キャップをしてもスカスカ状態でした。

左が破断したネジのすぐ上に来るリング、右が今回作った先端リング。

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それぞれ作ったパーツ、ペン先とペン芯のすべてを取り付けて、完成しました。

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修理完了。基本的な設計やサイズは踏襲されつつも、現在でも販売されているモンブランのNo.144。今回のモデルは最初期型のようで、雄ネジが樹脂であるのに対し、この後のマイナーチェンジ~現行モデルは金属製となります。

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キャップ縁作り / DELTA Dolcevita

デルタ ドルチェヴィータ(万年筆)の、破損したキャップの修理になります。ほぼ同じ時期にそれぞれ別の方から依頼されたので、2本まとめてお直ししました。

右がスリム、左がミディアム・ピストンフィリング。サイズこそ違えど、作業は同じです。2本とも、キャップリング真下の”縁(へり)”部分が破損してしまっています。

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垂直クラックでやや開いた状態と、もう一方は同じ破損の後、取れた縁が紛失してしまっています。

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常時黒い材料をストックしていることもあり、同じ形に作って取付ける方法でお直しします。まず割れたオリジナルの縁部分を外し、これから作る縁がピッタリ安定して接合するように接着痕も綺麗に削り取ります。

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材料となる黒いセルロース樹脂を削って、製作に取り掛かります。

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穴開けを終えキャップ側が材料にぴったり収まることを確認したら、一旦残りの材料から切断します。

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接着が乾いたら、ここから外側と端面をオリジナルと同じ形に削ります。

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角を丸く削り、傷取り&艶出し研磨を終えて2本とも完成しました。

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ドルチェヴィータは縁の部分が弱く、これまで割れた個体を多く見て来ました。そのため、ボールペンも含めてこの修理はしばしば依頼されます。修理に使った材料は割れにくいという長所があるため、少なくともオリジナルより長持ちするものと確信しています。

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複雑な製図用シャープペンシルの修理 / ぺんてる メカニカMEC Pentel

ちょっと複雑な機構を持つ、珍しい製図用シャープペンシルの修理を依頼されました。ぺんてるの1960年代のメカニカMECというモデルです。修理のご依頼内容は2点。

①ノックが作動しない、つまり芯が出ない

②ペン先を保護するパイプが正常に動かない

 

下は修理後の写真ですが、お預かりした時はこのような状態でした。芯を出すガイドパイプを隠した(保護した)まま、ビクとも動きません。私も初めて触れるペンシル故、故障云々の前にどのように機能するのかさえ、最初は正に手探りでした。本来は格子溝の付いたグリップを回して、太いパイプを収納して口金を表に出す構造までは分かりました。しかし何が原因で、これらのパーツが固着して作動しないのか、それをつきとめなければ修理に入れません。

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慎重にグリップから順番に外し、中のスライドパイプやガイド部を弄っている内に胴軸が真っ二つに分離してしまいました!

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破断面を見ると傷口がピッタリとは合わず、接着した痕が見られました。元々このように破損した物を接着してしまった為に、すべてのパーツが作動しないことが判明。また、後軸内に収まるノックボタンから前軸までを繋ぐ長い芯タンクも、一緒に接着されていました。これではノック式ペンシルの基本動作、そしてガイドパイプを繰り出し・収納するパーツ類も操作できる筈がありません。少なくとも接着で諸々が機能するように直すのはまず不可能。色々検討した結果、土台となる樹脂の前軸をそっくり同じに作り、且つ後軸に固定して、すべてのパーツを元通り取り付けることにしました。この時点で”機能する”までに再現出来るかは確証がありませんでした。

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前軸を残らず削り取って、現れたノックメカの心臓部。製造時の成型固着らしく、取り外せなかったのでこうするしかありませんでした。(置いた)位置が左右逆転していますが、左側が先端部、口金との接続部分になります。

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オリジナルの作りとは異なりますが、これから作る前軸としっかり固定するため、後軸の破断面を綺麗に削って整え、ネジを切りました。

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前軸の土台が完成。こちらも後軸と安定して固定させるためのネジを切っています。表面の段やテーパー付けに、結構時間が掛かりました。ガイドや保護カバーがぴったり取り付けられるように、何度もメタルパーツを合わせては微調整を繰り返す必要がありました。例えばテーパーの角度がほんの少し緩いだけで、金具が奥まで入ってくれない、と言う具合に。

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チャック等を内蔵するメカ本体の取付け。

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後軸と接合して、各パーツを取り付けていきます。凹み打痕のあるガイド部は、作った前軸にも凹みを設けてかしめて固定。シャー芯が出ているのが分かりますね。写真と説明は省きますが、この間ノック機構の修理は終えています。

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グリップ取付け。

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グリップを回して保護カバーが作動しました。

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この類の機能・構造を把握しながらの切削加工修理は、何よりも元のパーツや状態を図面に起こす事が大変重要です。図面を作って、初めて壊すことを含む加工の作業に入れる訳です。破損していない同じ物が見本としてあれば別ですが。

破損の状態にもよりますが、今回のような破断面同士の傷口が合わない例は、再現する本来の長さが分からないのが厄介なところです。

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