パイロットの40数年前の初代エリート系の万年筆で、コンバーターを取り付けるためのパーツが破損して使えなくなっていました。同社の万年筆は”ヤリ”と呼ばれる、半円状の樋のような物が付いたパーツで、カートリッジやコンバーターを取り付けられるようになっています。依頼主の方はメーカーに修理に出したところ、この型式のパーツ在庫が終了して受け付けられなかったそうです。
お客さんは1970年代に新品で購入して以来ずっと愛用されてきたのですが、ヤリの欠損で止む無く付けペン状態で使われていたそうです。首軸を裏側から見ても、ヤリがないのでペン芯の底がむき出しで、宙ぶらりん状態です。
オリジナルは透明アクリルですが、再び長くお使いいただけるよう強度を鑑み、エボナイトで製作しました。ネジ一体のヤリです。荒削りを終えたところで、ここから更にこまかいバリを研磨仕上げします。
コンバーターに丁度良いフィット感で取り付けられることを確認出来たら、パーツ製作は完了。
出来たヤリパーツを工具で、首軸内部にネジ回して取り付けます。コンバーターを再び装着し、修理完了です。