ソケット製作その2 / KAWECO Sport , OMAS

以前もご紹介しましたペン先とペン芯を固定するソケット。
主にピストン式の万年筆に採用されているパーツで、今回は2例を採り上げます。

 

①カヴェコ・スポーツの限定品

ソケット破損というより、紛失の状態でお預かりしました。困ったことに、破損したオリジナルパーツがない=想像で作るしかありません。

写真のように、ばらばらな状態で送られて来ました。

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胴軸内ネジのピッチ(規格)を確認し、内径、高さを決めて製作に入ります。ペン先&ペン芯に出来上がったソケットを差し込み、胴軸に仮付けして見ます。この際、ソケットの端面が首軸の端面より少し下がった位置でネジが閉め終わること、そしてペン先が首軸より何処まで顔を出した状態で収まるかも、長年の経験で決めます。

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ネジの締り具合、ペン先&ペン芯の差し込み具合(適度な保持力)、握って筆記する際にペン先が紙面に当たる位置等が上手くバランスされていることを確認出来たら、完成です。

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②オマス  パラゴン

こちらはソケットが割れたため、ペン先とペン芯がぐらついて固定出来ません。
破損したオリジナルパーツがあるとはいえ、痩せも著しく首軸に取り付けようとしても全く安定しない状態でした。またインク汚れにも見える青い変色は、洗浄しても一向に落ちませんでした。この樹脂素材が知りたいところです。

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痩せた分、外径を少し太めに削って作ります。なお、オマスのソケットのネジはかなり細かく、前述のカヴェコやペリカンとはネジのピッチが異なります。

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出来ました。右がクラック有のオリジナル。底部もぼろぼろ。よく見ると、ネジ山も何か所か崩れています。

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しっかり固定出来たら完成です。

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