胴軸がインクビュー付近から折れてしまった、アウロラ万年筆の修理を依頼されました。リミテッドエディション『アフリカ』。
透明アクリルのインク貯蔵部が、首軸内側の接続部分で真っ二つに折れてしまっています。この類の破損は過去の例でも、接着しても再び折れる可能性が高いため、内部のインクビュー一体型のインクタンクを同じ形に作って対処します。
製作の前にまず胴軸側、首軸側とも透明アクリルの残りをすべて削って除去します。
写真は接着されていた透明部分をすべて削り取り終えた状態。
必要な部品等を一旦すべて取外し、インクタンクの製作に入ります。
アクリルよりやや柔らかく、逆に割れにくい透明セルロース材でインクタンクを作ります。写真はリング(ロワー)を仮装着した姿。
ペン先ユニットを取り付けるための、ネジ切り(内側)。
削り、そして水の吸入・排出の試験を終えたら、割れたオリジナルのインクビューに近い色になるよう染色を行います。
最後に内外から研磨・艶出しを終えて、すべてのパーツを再び組み立てれば完成です。パーツ製作は確かに難しいですが、最も神経を使うのが破損したインクタンクを完全に削り取る作業です。オリジナルのボディ側を壊さないよう、削り取らなければならないからです。実際、掛かった作業時間も全体の4割程になりました。
この方法でオプティマ/88シリーズにも対応できます。