ボールペンのグリップ折れ / Montblanc Limited Edition Marcel Proust

机からの落下の衝撃により、グリップが分離破損してしまった銀軸のボールペンをお直ししました。このペンはモンブランの作家シリーズ(限定)で、1999年発売のマルセル・プルースト(万年筆・ボールペン・ペンシル)。

 

本体軸と繋ぐ雄ネジのほぼ根元から、水平に破断してしまっています。ここは丈夫な樹脂材を使ってネジ+α(接着しろ)を作って接合するよりも、オリジナルと同じ一体構造の方が安定する筈なので、全く同じパーツを作ることにしました。

 

強度を重視しエボナイトを使って作りました。メタルの口金は再利用します。

 

口金、デコリングを装着、そしてガイドチューブを挿し込みます。

 

このインナーチューブにはグリップを繋ぐネジと、更に本体軸内の奥にあるツイストメカとを繋ぐネジの、上下2ヵ所の雌ネジがあります。当然、作ったグリップの寸法が0.1mmでも違えば、その分の隙間が生じるか、反対にきつくなってグリップがスムーズに回せません。一般的なツイスト式と同じくグリップ、又は本体軸を180度回転させてリフィルの出し入れを行う訳です。

 

リフィルを装填、本体軸に取り付けます。隙間なく、スムーズに回転できることを確認して修理が完了しました。

 

重い材料で作られた高級なペンほど、落下による破損のリスクは高いと言えます。銀は特に重いせいか、このモデルで同様の破損による修理依頼は今回で3件目でした。少なくとも、オリジナルよりは丈夫になりました。