胴軸の一部が割れたボールペンの修理依頼です。エス・テー・デュポンのデフィで、パラディウムと樹脂の2重構造の初期モデルになります。
赤い半インナーの樹脂軸は、クラックを接着補修した痕が見られます。当初から代替のインナー製作でのご依頼でした。使う材料はエボナイトで、マット仕上げを選択。軸自体は一見シンプルに見えますが、パラディウムのボディをスライドする格好で被せるための溝が表と裏にある、やや凝った構造です。更に溝がほぼ端から端まである長いもので、途中テーパもあります。とにかく、見た目以上に複雑なデザインで、そのまま製作の難易度にも反映されました。
新しい代替の軸がほぼ出来上がりました。溝は前述の通り、上下2ヵ所に設ける訳ですが、ぴっちり180度の位置に来なければなりません。溝彫りだけは、フライスを使いました。
溝を多少深く削り過ぎたり、或いはほんの一部はみ出してしまったりとオリジナル程綺麗には仕上げられませんでした。ですが、それも予想のうち。多少のズレや歪みは、ボディを被せると、パラディウムの支柱の方が太く隠れてしまいます。
マット仕上げを終えたらすべてのパーツを取付け、外筒状のボディを被せて完成!