首軸破損→製作 / PARKER DUOFOLD Sr.

パーカー・デュオフォールドSr.万年筆の赤軸、通称ビッグレッドを修理とサック交換でお預かりいたしました。たまたま別の方から同じサイズのモデル3本の依頼が来ましたので、まとめて行います。うち2本は、どちらも首軸が破損してしまっていて、同時に作ることになりました。

左は2つに分離してしまっており(最早ほとんど原型を留めていない)、右はゴムサックの取付け口が一部欠損してしまっています。

 

オリジナル(1920年代)と同じエボナイト材を削って、代替の首軸を作っていきます。先にペン先&ペン芯が収まる穴を空け、ねじを切り終えたところです。

 

握るグリップの箇所を、やはりオリジナルと同じに削ればほぼ完成。

 

磨きの前に、一旦胴軸とねじ留めします。ねじの締り具合を確認するためで、ややきついようであれば、もう少し切ります。

 

ペーパー研磨を行いました。最後にバフ掛けして艶を出します。全く同じモデルでも、ネジの噛み具合等が微妙に異なり、例えば作った首軸を付け替えるとスムーズに閉まらなかったりします。切削の個体差と、胴軸の経年痩せや変形が主な原因のようです。それもその筈、赤い材料は2本ともエボナイトではなく、後期型のパーマナイト(セルロイド)。

 

注)混ざらないよう、各パーツに色ラベルを貼っています。

 

バフ掛け、新品のサック等を取り付け、吸入試験を終えて修理完了です。初期のデュオフォールド・レッド(ボタン吸入式)は、エボナイト&パーマナイトのいずれも前述の理由でボディが脆く、割れてしまっている個体が多いのはよく知られている話ですが、首軸の破損した物も良く見ます。それぞれの持ち主様は、この破損した状態で入手されたそうです。