ツイスト式のペンシルの芯が出ない症状の故障です。キャップチューブ側を半回転右に捻ると芯が出る方式なのですが、キャップ側が抵抗なく空回りしてしまい、芯が出ない状態です。 ※このペンシルは1980-90年代のクラシックというシリーズです。
キャップチューブとペンシルユニット本体を繋ぐカバーのパーツの表面に、大きな亀裂が発生していました。ここは通常ユニットをしっかり覆っているのですが、ここが割れることにより、キャップ本体とともに空回りを起こしてしまいます。この肉薄な部分の接着だけでは、嵌め込みの力にはとても耐えられません。また全体を製作しようにも、トップに回転パーツ(転子)がはめ込んであるなど複雑な形状でちょっと難しいです。修理方法を決めたら、作業に入ります。
轆轤にセットし、亀裂した筒部分をカットしてしまいます。下の写真は、カットして、取り外した状態。
修理方法とは、カットされた部分と同じような外枠を作って継ぎ足すやり方です。継ぎ足し用の材料に穴空けします。
オリジナルの回転メカ本体を挿し込んで、内径の調節をします。緩過ぎずピッタリ収まることを確認しました。
作ったパーツの一部(左)。
上の二つを接着し、ペンシルユニットに取り付けます。がっちりカバーとして収まりました。右側の転子側面に、縦長の突起が見えると思います。ここがキャップチューブの一番奥(丁度ホワイトスターの真下)の内管にきっちり嵌り、キャップ本体で回転操作を行う仕組みです。その際、例の亀裂により回転の抵抗が働かず一緒に空回りしていたのです。 ※転子の頭の黒い物は消しゴム♬
これで空回りしなくなりました。
キャップチューブを取り付け、芯がステップを踏んで出るように直りました。通常、キャップを反対回し(左回し)にすると、写真のように回転メカと一緒に外せます。この状態で芯を補充する仕組みです。
修理完了。今回とほぼ同じ修理方法で、パーカー75やウォーターマン・エキスパート初期型(いずれもボールペン)でも応用しました。