インクタンク製作 / AURORA Land of Afrika

胴軸がインクビュー付近から折れてしまった、アウロラ万年筆の修理を依頼されました。リミテッドエディション『アフリカ』。

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透明アクリルのインク貯蔵部が、首軸内側の接続部分で真っ二つに折れてしまっています。この類の破損は過去の例でも、接着しても再び折れる可能性が高いため、内部のインクビュー一体型のインクタンクを同じに作って対処します。

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製作の前にまず胴軸側、首軸側とも透明アクリルの残りをすべて削って除去します。

写真は接着されていた透明部分をすべて削り取り終えた状態。

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必要な部品等を一旦すべて取外し、インクタンクの製作に入ります。

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アクリルよりやや柔らかく、逆に割れにくい透明セルロース材でインクタンクを作ります。写真はリング(ロワー)を仮装着した姿。

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ペン先ユニットを取り付けるための、ネジ切り(内側)。

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削り、そして水の吸入・排出の試験を終えたら、割れたオリジナルのインクビューに近い色になるよう染色を行います。

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最後に内外から研磨・艶出しを終えて、すべてのパーツを再び組み立てれば完成です。パーツ製作は確かに難しいですが、最も神経を使うのが破損したインクタンクの完全な除去作業です。オリジナルのボディ外側を壊さないように削り取らなければならないからです。実際、掛かった作業時間も全体の4割程になりました。

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この方法でオプティマ/88シリーズにも対応できます。

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製作日誌 割れたキャップがきっかけに / SAILOR MINI 21K

キャップのひび割れが著しい万年筆をベースに、キャップと胴軸の製作を依頼されました。ベースはセーラー・ミニ(大)21K。

材料は赤/黒のカラーエボナイトで、胴軸はオリジナルと同じ形、キャップはリングを流用、クリップ無し。そして極力円柱に近いデザイン。写真では分かりにくいですが、先端がほんのわずかにテーパーをつけてあります。

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出来が合ってキャップを後ろに挿し、握って見ました。エボナイトの軽さも手伝って、結構バランスの良い握り心地で、ショートサイズの万年筆らしからぬ重厚感&質感が得られました。

ところで最近は本体の破損を機会に、最初からオリジナルのボディ製作を依頼される方が増えています。それには依頼者様のアイディアや遊び心次第で、思いもよらぬ面白い物が出来上がることもしばしばです。

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刃物用ラック、新調しました!

轆轤の架台に据え付けてある、刃物ラックがもう半年以上前から一部崩壊状態のまま使って来ましたが。が、それももう限界でした。これは轆轤が架台ごと完成して間もない頃、自分で作った物なのでした。ところが素人大工の悲しさからか、徐々に傾いたかと思えば、一部釘ごと落ちたりと、後半はドリフのスタジオセットよろしくだましだましでここまで来ました。いやいや、素人ながらよく4年以上も持ったととるか!?

という訳で、毎日の作業にも支障を来し始めたので、流石に作り直さなければなりません。

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1本でも多くの刃物がすぐ手に取れるよう、縦2列に作ったのですが、真ん中の仕切りがほぼ崩落してしまっているため、刃物の柄がごちゃごちゃで2列か3列かも見分けがつかない有様。

 

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真ん中の仕切りが重さで下に沈んでしまっているため、溝の左右で高さが違い、柄が真っ直ぐに収まっていません。

 

そこで今回は日曜大工を諦め、意を決してプロにお願いすることにしました。当工房から歩いてすぐの、建築工房クラフトさんを訪ねたところ、二つ返事で引き受けて下さいました(*^^)v ああ、良かった。

 

クラフトの社長さんが「とにかく現場を見せて貰いましょう」と、訪ねたその場で見に来て下さいました。

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当工房を見終えた翌週には、何と「一応ラックが出来ましたので、取付けに伺います」と連絡が来ました。早っ!!

てっきり半分近くはこちらで作るのかなと思いきや、出来上がったラックを持参、あっという間に取り付けて頂きました ♪

いいですネ~。一目ですっかり気にってしまいました。見るからにがっちりしています。

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この場で載せるのも恥ずかしいのは百も承知ですが、取り外した私の作品 ↑ です。

 

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早速ヒラギリという刃物を仮に挿してみました。当たり前ですが、ちゃんと2列に見やすく収まります!

 

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隙間なく挿しても、ご覧の安定性。晴れ晴れした気分で、再び日々の仕事に没頭できます。

 

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昨春、もう1台の轆轤が隣に導入されたことだし、今回は反対側(右)にもラックを拵えて頂きました。こちらは主に、ネジ切り用のクシガマをメインに並べる予定です。

ちゃんとした物を作って貰うためにプロにお願いする訳だから、多少お値段が張っても構わないと決めていました。そうしたら、何とまあ予想額より遥かに低価格ですっかり恐縮してしまいました・・・。

建築工房クラフト様、ありがとうございました! 末永く活用させて頂きます。

修理日誌 透明鞘の製作・復元 OMAS Limited Edition Harmonia Mundi

修理依頼品:オマス OMAS

リミテッドエディション ハルモニア・ムンディ x 2本

①チタン

②18Kソリッド ホワイトゴールド

 

オマスの同じデザインの限定万年筆2本をお直ししました。本体軸はチタン、18Kソリッド(ホワイト)ゴールドの2種類で、それぞれの胴軸&キャップが透明アクリルらしきカバーで覆われたストレートなデザインです。その4点の外筒パーツすべてにクラックや擦り傷が付いてしまっています。

※オーナー様からは、ビス留めされたすべてのボディパーツやクリップが取り外された状態でお預かりしました。

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チタン製リングを持つのは、18Kソリッドゴールドの軸。反対に金のリングはチタン軸のカバーになります。見事にビス穴周りからすべてクラックが発生してしまっています。

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この透明外筒と同じパーツを作ることが今回の修理依頼です。

先ずは接着されたすべてのリングを、特殊な工具で取り外します。

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とにかくアクリル切削は常にクラック破損のリスクを抱えるため、オリジナルとは別の素材を使って作ります。これはお預かりする前に、依頼者様にご説明済みです。

何度か採り上げた、透明セルロースを使います。アクリルより柔らかいものの、割れにくいのが最大の特徴です。

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削ってほぼ形が出来上がった代替パーツたち。失敗を含めると、必要数の倍以上は作りました。主に穴位置のズレや磨きで落とせない傷の付着でした。精密な穴開けだけは、卓上フライスのお世話になりました。

余談ですがこれら2種類の万年筆、透明外筒の寸法や穴の位置、ビスのサイズなど皆微妙に異なります。ですから同じ物を2本ずつ作ればよい、という訳にもいきませんでした💦

因みにチタン軸のビス脚外径はΦ1.6mm、18Kゴールドの方はΦ1.2mmでした。

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透明セルロース版の外筒、すべてが完成しました。ビス頭を除く外径は約Φ17mmと、モンブラン149のキャップとほぼ同じ太さです。

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リング、ビスともにそれぞれチタン色、金色で統一された非常に凝ったデザインですね。

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製作日誌 オーダー万年筆

数か月前に弊所でオーダー製作・納品した万年筆をお預かりしました。
ペン先の筆記調整や、キャップを後ろに挿す時の安定性向上など、ちょっとしたメンテナンスでした。

個人のお客さんからのオーダーなので、デザインや材料の色の選択等もすべてご注文通りでした。メーカーのペン先ユニットをお預かりし、キャップと胴軸を作ったカタチです。

因みにオーダー製作ではキャップネジ式が主流ですが、この万年筆は珍しく嵌合式でのご注文でした。

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オーダー製作をブログで採り上げることはあまり行って来ませんでしたが、今後は機会があればまたご紹介したいと思います。

修理日誌 胴内軸・首軸製作 / PELIKAN M800

メーカーにペリカンM800・赤縞の代替パーツがもうないとのことで、修理を2本まとめて依頼されました。首軸と胴軸の境目辺りからインク漏れで手が汚れる、という1本。そしてもう1本もほぼ同じ症状ですが、ねじの所から水平クラックが2ヵ所ほど見えてしまっている状態でした。

ペリカンのこのシリーズでは経験上、外側から補修しても漏れが止まらないか、止まってもいずれまた漏れを引き起こしてしまうことが分かっています。原因は内部のアクリル製インク貯蔵部がひび割れて、本体表面に回ってしまっているからです。一体成型で作られていますが、丁度ねじの裏側の首軸との接合部が最も弱く、ここからやられる個体がほとんど。

なお依頼者様からは2本とも首軸ごと作って欲しいと頼まれています。首軸・内部のインク貯蔵部を2つ作り、最後に接着してする方法の修理とします。

胴軸を傷つけないよう、首軸を切断します。

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こちらは1本目。内側の透明アクリルが、インク貯蔵部となります。余談ですが首軸リングが金メッキじゃないのは、以前うちで腐食したリングの代わりに樹脂リングを作って代替としたからです。それも今回の修理で結局は首軸ごと作り直すことになります。

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2本目。これは切断したのではなく、クラック位置を把握するために敢えて内部の傷口を広げるように首軸を取り外そうとした結果、このような形で折れて外れました。

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慎重に胴軸内部の透明アクリル部分を、2/3ぐらいの深さまで掘り、オリジナルのインク貯蔵部を切削して除去します。

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インク貯蔵部を割れにくい透明樹脂、首軸をエボナイトで作ります。胴軸内部の破損が異なっていたため、彫り込んだ内径も数値が少し違います。結果、インク貯蔵部の外形も同じではありません。

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内面を良く研磨した後、水を入れ、吸入器を仮装着して水で吸入・排出の試験を行います。この内壁の磨き込みが難しいのです。

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インク貯蔵部を胴軸に装着。オリジナルの破損前のアクリルも、このような形で首軸と繋がっていました。

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ペン先ユニットが正しい位置・深さに止まって収まるかをチェック。

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接着が乾燥したら修理は完了となります。

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修理日誌 ペン先の変形直し / Montblanc No.149

万年筆のペン先曲がりの修理は、よく依頼される修理の一つです。一口にペン先曲がりと言っても、曲がってしまった原因や曲がり方は様々ですが、今回のようにペンポイントが横報告に反れる破損は厄介です。矯正作業の段階でペンポイントが取れてしまうリスクが高いことと、一旦横方向に曲がるとインクの通り道である切り割がなかなか真っすぐにならないから。切り割が真っ直ぐにならないと、ペンポイントまでインクが届かず、まず書けません。

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まずは片側から。研磨改造して専用に作ったヤットコを中心に複数の工具を用います。

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もう片側の反りを起こして、見た目は9割ほど元の形に戻りました。これで修理は間もなく終わりに思えるかも知れません。いいえ、ここまでは全体の作業時間の半分以下です。さらに切り割を真っすぐ、そして上下方向を叩いてペンポイントより下の溝脇を左右でズレが無いように、細かく整えていきます。

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先端が部分が整ってきても、ハート穴までの更に下の切り割がまだ広くなってしまっています。当然、槌打ちの微調整を更に繰り返して、”開き”を寄せていきます。

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表面が整って見えても、裏側はまだ曲がっています。当然、裏側も綺麗に修復を続けます。余談ですが、ヤットコによる曲げ起こしや槌打ちの作業は、主にペン先を取り外した単体の状態で行いますが、都度ペン芯と合わせて首軸に差し込んでチェックを行います。ペン先単体で曲がりはかなり修復出来ているように見えても、ペン芯や首軸にセットするとまた上下左右にズレてしまうことがあるからです。当然また抜いて微調整・・・と、こういった作業の繰り返しです。見た目ペン先の曲がりがほぼ直ったようでも、後半の作業時間がより長くなるのはこのためです。

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裏側もペンポイント下の切り割が真っ直ぐになり、曲がり直しの作業はほぼ終わりました。しかしペンポイント右側が左より少し長くなってしまっています。これは作業に入る前からの計算通りです。つまり今回のように両方のペンポイントが同じ横方向に揃って曲がると、元に戻した時左右のペンポイントまでの長さが変わってしまう事がよくあります。これを解消するため、最後に研磨レースで削って、左右の長さを整えます。

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インクを付けて筆記調整をします。通常筆記に支障ない筆記が出来るようになったら、最後に研磨で表裏の傷を取り、ようやく修理完了です。

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