ピストンシール作り / PELIKAN 1935 Jade Green

ペリカン限定万年筆の吸入修理を行いました。ペリカン・オリジナル100の形を復刻した限定版、1935のジェイドグリーンです。

「尾栓を回しても空回りする感じで、まったく吸入しない」というご相談でした。症状を聞く限り、2点の問題が考えられます。1つはピストンの螺旋棒/ロッドのいずれかが破損してしまっていること。もう1つは、ピストンシールの摩耗等です。前者の場合、重症と言えますが、お預かりして分解した結果、後者のシールの方でした。

 

といっても摩耗どころか、シール自体が分離破損してしまっていました。数年前にも、やはり同じジェイドグリーンの修理依頼があった時と、症状は同じでした。

 

機構やパーツ自体はレギュラーのM400/M600とほぼ共通ですが、何故かシールの素材はこの限定品に限って違う物が使われています。Mシリーズが半透明の樹脂製であるのに対し、こちらは赤茶色の(恐らく)ゴム系です。現行の物は摩耗で吸入不良を起こしても、まずこのような千切れた破損はしません。

 

現行のペリカン吸入式は、螺旋棒の構造上Oリングではちょっと代替が利かないので、代替の樹脂を切削して、オリジナルと同じようなシールを作る方法をとります。

接地面を慎重に仕上げ、グリース塗布でインク漏れなく滑らかに作動することを確認しました。これにて修理完了。