4色ボールペンのリフィルが装着できない / Montblanc Pix-o-mat

モンブランの4色ボールペンの(一部)お直しをしました。同社の1960年代の製品 Pix-o-mat(ピクソマット)です。赤いリフィルだけどうしても装着できない、というご相談でした。これは振り子式と呼ばれる、重力を利用したユニークな機構で、内部のプッシュロッドが使いたい色の芯を押し出してくれます。ラミー2000の4色BPもこの方式です。

リフィルの取外し&取付けは、決めた色を押し出して本体先端から行います。ここからリフィルが入らないということは、内部で不具合が考えられます。写真は点検、及び修理のために内部ユニットを取り外した状態です。

 

4色=4つのリフィルを取り付けるチューブホルダーがある訳ですが、予想通り1本の取付け口がかなり変形してしまっていました。外からなかなか装着できないため、それを繰り返した結果ですね。依頼者様から相談を受けた際、それ以上無理に続けないでくださいとお伝えしています。取付け口の破損を進めてしまうだけですから。これでも今回の変形はまだいい方です。

 

潰れたとば口の修復が終わりました。しかしこれは見た目で、この後リフィルを適度な力で保持できるように微調整加工を行います。つまり、あまり硬いと先端からリフィルが取り外せず、逆に緩いと下に向けた途端リフィルがストンと抜け落ちてしまいます。

 

正常なホルダーとほぼ同じ保持力まで修正できたら、修理完了です。

この場を借りてお願いしたいのは、Pix-o-mat はまずご自身で分解することはお勧めしません。今回の変形修理以外にも、開けたら元に戻せなくなってしまったという依頼も少なくありません。非常に良くできた製品ですが、複雑な構造ゆえのトラブルも避けられなかったことでしょう。