首軸製作 / PARKER 75

これまでパーカー75の首軸リング製作の修理は2度ばかりご紹介して参りました。しかしインク漏れや付着のもう一つの原因は、グリップ部である首軸そのものの変形や破損です。75の首軸破損、特にクラックの場合は他の万年筆のように接着で直ることはほとんどないと言えます。そうなりますと、パーツを入手して首軸ごと交換が一番手っ取り早いのですが、廃盤になって20年は経つモデル故、メーカーも対応していません。それに中古パーツ単体の入手も簡単ではありません。

f:id:hikkigukobo:20190218235927j:plain

 

見事に大きなクラックでパックリ割れて、内部のコレクターのフィン(インク溜まり)が丸見えの状態です。これは樹脂の経年痩せにより自然に発生したひびです。まず接着では塞げません。

f:id:hikkigukobo:20190218235957j:plain

 

ペン先ペン芯一体ユニット、前述のコレクターそしてリングを流用して首軸本体を製作する方法を採ります。取り外せるパーツはすべて外し、コレクターは削って取り出すしかありません。基本的な作業の流れは、以前ご紹介したパーカー45と基本的に同じです。

f:id:hikkigukobo:20190219000206j:plain

 

これがコレクターという重要なパーツ。ペン先ペン芯ユニットを中で固定し、ある程度の量のインクを保持し、更にカートリッジ&コンバーターの取付け口とも一体となっています。

f:id:hikkigukobo:20190219000301j:plain

 

カートリッジの取付け口=穿刺チューブ側から。余談ですが、パーカー75が幾ら水洗いしても、なかなか首軸内部のインクを落とし切れない理由はペン芯と別体のコレクターが入っているからです。

f:id:hikkigukobo:20190219000314j:plain

 

首軸の製作に入ります。リング受けの外ネジ部分を切りました(手前)。

f:id:hikkigukobo:20190219000408j:plain

 

リングを仮締め。

f:id:hikkigukobo:20190219000427j:plain

f:id:hikkigukobo:20190219000444j:plain

 

ここからが45にはない指の当たる窪み加工。轆轤では加工できない形状で、丸い砥石を回転させて窪みを3か所彫ります。回転砥石に対し、首軸を手で持って当てるので、最も神経を使う作業です。手の当て方を間違えると、窪みを均等な3分割に出来ません。例えば窪み2か所の位置が近すぎると、残りの1ヵ所だけ離れた歪な形になってしまいます。折角轆轤でここまで削り出したのがパアになります。

f:id:hikkigukobo:20190219000503j:plain

 

作った首軸を磨き、洗浄し終えたらすべてのパーツを取り付けて組み立てます。

f:id:hikkigukobo:20190219000526j:plain

 

セッティング完了。

f:id:hikkigukobo:20190219000608j:plain

 

モニターインクを入れ、数日様子を見て安定して筆記が出来、かつインク漏れがないことを確認出来たらようやく完成(修理完了)となります。首軸がエボナイトなので、オリジナルより強固になりました。

f:id:hikkigukobo:20190219000629j:plain

 

 

 

 

 

 













 

万年筆製作日誌 / 竹軸インク止め式

前回に続き似たような竹風のストレート型、それもインク止め式の製作をご紹介します。竹+インク止めとなると、弊工房としましても最も製作難易度が高い万年筆の一つです。

f:id:hikkigukobo:20190206001707j:plain

f:id:hikkigukobo:20190206001731j:plain

f:id:hikkigukobo:20190206003323j:plain

どの軸を製作する場合もそうですが、無垢の材料からドリルで下(した)穴をあけると結構なクズが発生します。

f:id:hikkigukobo:20190206001036j:plain

4条ネジを切って、首軸を仮締めしたところ。

 

f:id:hikkigukobo:20190206000846j:plain

青緑の軸も同様に。

 

f:id:hikkigukobo:20190206001005j:plain

 

f:id:hikkigukobo:20190206001420j:plain

ここはパッキンユニット。

 

f:id:hikkigukobo:20190206001257j:plain

パッキンとナットを入れる穴を空け、尻軸と接続させる外ネジを切ります。

f:id:hikkigukobo:20190206001552j:plain

尻軸とネジで接続

 

f:id:hikkigukobo:20190206001146j:plain

パッキンのナットを製作

f:id:hikkigukobo:20190206001224j:plain

f:id:hikkigukobo:20190206001508j:plain

パッキンを入れ、先ほど作ったナットを閉めます。

 

f:id:hikkigukobo:20190206002045j:plain

すべてに尻軸(一番下の節)を取り付け、胴軸が完成。

 

f:id:hikkigukobo:20190206001905j:plain

キャップ側の製作。胴軸に被せる4条の内ネジを切ります。

 

f:id:hikkigukobo:20190206001941j:plain

胴軸との締り具合を確認+微調整

 

f:id:hikkigukobo:20190206002206j:plain

キャップ完成。次に装飾加工である、節と節の間を湾曲に削る最も困難な作業です。

 

f:id:hikkigukobo:20190206002244j:plain

f:id:hikkigukobo:20190206002306j:plain

f:id:hikkigukobo:20190206002421j:plain

外径削りが完了しました。

 

f:id:hikkigukobo:20190206002700j:plain

次にインク止め式に欠かせない、中芯作り。Φ3mmのエボナイトの中に、折れ防止用のピアノ線が入っています。

 

f:id:hikkigukobo:20190206002806j:plain

中芯後軸をテーパ状に少しだけ削ります。

 

f:id:hikkigukobo:20190206003044j:plain

尻軸内部と接続させるための、逆ネジを切ります。この工具は特注です。

 

f:id:hikkigukobo:20190206003108j:plain

先ほど入れておいたパッキンに中芯を通し、そしてやっと尻軸と繋ぎます。写真はペーパー研磨を終えた状態。

 

f:id:hikkigukobo:20190206003209j:plain

インク止式なので、取付けが終わったら胴軸に水を入れて、バルブ(尾栓)開封によるインク出/インク止の試験を行います。

 

f:id:hikkigukobo:20190206003428j:plain

バフ掛けを行い、水洗いして完成!

 

f:id:hikkigukobo:20190206003523j:plain

f:id:hikkigukobo:20190206003544j:plain

 

万年筆製作日誌 / 竹軸両用式

お得意の業者様から、竹節風の万年筆の製作をまとめて頂きました。2種類のエボナイトにカートリッジ式とインク止め式と合わせて10数本! 今回ご紹介しますのはカートリッジ式版です。

先ずは材料の棒材から、各部位のカットをします。カートリッジ&コンバーター両用式なら、キャップ・首軸・胴軸・・・といった具合に。これは竹節のデザインのみならず、普通の形の万年筆でも同じです。

f:id:hikkigukobo:20190205232738j:plain

 

結構端折りましたが、首軸の製作から。

f:id:hikkigukobo:20190205232752j:plain

f:id:hikkigukobo:20190205232803j:plain

 

竹の形に削る前に、節ごとの位置決めをします。刃先を軽く当てて、丸印のように刻みます。後は決めた溝をより深く掘り、次に真ん中をえぐるように、真っすぐな表面を弓なりに削ります。写真は竹形に削る前と後を並べたものです。

f:id:hikkigukobo:20190205232826j:plain

 

ここで湾曲に削る刃物=キシャゲに登場頂きましょう。普通の形の軸にも使う、首軸用のキシャゲです。元々は真っすぐな形をしていた刃物ですが、首軸や竹節用にグラインダーや専用砥石で削ってこのような形に作ります。

f:id:hikkigukobo:20190205233853j:plain

f:id:hikkigukobo:20190205232813j:plain

f:id:hikkigukobo:20190205233930j:plain

 

キャップのとば口からネジ切りを行っているところ。つまり胴軸の受けネジになります。

f:id:hikkigukobo:20190205232835j:plain

 

ネジを切り終え、胴軸とネジで繋がった様子です。

f:id:hikkigukobo:20190205232847j:plain

 

すべて削り終わりました。左側がキャップになります。

f:id:hikkigukobo:20190205232901j:plain

 

キャップを後ろにポスティングした筆記のスタイル。

f:id:hikkigukobo:20190205232916j:plain

 

削りが終わった段階では、まだ軸全体に刃物傷や材料の粉が付いたままです。

f:id:hikkigukobo:20190205232926j:plain

 

ペーパー研磨、バフ研磨、そして水洗いを経てようやく軸が完成しました。

f:id:hikkigukobo:20190205232942j:plain

f:id:hikkigukobo:20190205232954j:plain

 



 

 

 

 

セイフティ万年筆の修理(スタビライザー交換) / SOENNECKEN

 古いセイフティ万年筆(ドイツ:ゾーネケン)の修理とメンテナンスを行いました。スポイト式の相当昔の万年筆の割には非常に状態がよく、決定的な故障・破損は特に見られない1本です。お客さんからはお任せの形で、使える状態に持って行きます。修理とメンテの半々でした。

 

f:id:hikkigukobo:20190119235349j:plain

 

f:id:hikkigukobo:20190119233543j:plain

胴軸下部のパッキンユニットを取り外します。ご覧のように、金属のクロスピンで留められています。セイフティ万年筆は、初期の万年筆のデザインの一つなのですが、細かい仕様の違いを除けば基本的な構造はメーカーは違えどほぼ同じでした。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233553j:plain

胴軸と尻軸の間に来るコネクター(左)内部に、シーリングパッキンであるコルクが入っています。ここで、後ろからインクが回って外に漏れないよう、シーリングされている訳です。中芯が上下しない横回転のみですが、シーリング自体はプランジャー式やインク止め式と同じになります。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233611j:plain

コルクを取り外しました。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233621j:plain

コルクの代わりに取り付けるOリングの外径に合わせ、内部を少し削って加工します。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233631j:plain

グリースを塗布したOリングを埋め込み、再び尻軸をピン止めしてパッキン交換は完了。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233644j:plain

これはキャップの天ビスを取り外した裏側です。ペン芯を固定するスタビライザーがかなり腐食しています。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233657j:plain

今の万年筆の感覚だと、キャップ内部の頂点にこんな長い針金状の物があったら、ペン先ユニットが入らないか滅茶苦茶に傷つけてしまうと思われるかも知れません。実はこれ、ペン芯裏に開けられた細い穴にピッタリとはまり、筆記以外の状態のペン先とペン芯の横揺れ防止になります。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233709j:plain

しかしここまで腐食した状態では安定感を欠き、ブレを防止する機能が働きませんので、パッキン同様に交換してしまいます。引っこ抜くと、天ビス側に取り付けられた側は、ヤリのように尖っていました(これも腐食の結果)。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233720j:plain

新しいスタビライザーを、同じ外径のピアノ線からカットして取り付けます。

 

f:id:hikkigukobo:20190119233733j:plain

f:id:hikkigukobo:20190119233743j:plain

再び天ビスをクリップと一緒にキャップスリーヴに取り付けました。もちろん、ペン芯裏の溝穴に問題なく収まりました。すべてのセイフティ式にスタビライザーが付いているという訳ではなく、初期のモンブランや一部のメーカーです。セイフティを最初に出したウォーターマンには採用されていませんでした。

 

 

 

 

 

 

アンティーク材料からの削り出し / DUNHILL NAMIKI

お馴染みさんのダンヒルナミキコレクター(外国人)から、今回もオリジナルを見本にキャップ製作を依頼されました。

f:id:hikkigukobo:20190112221742j:plain

写真はお客さんが入手した当時の万年筆の写真ですが、キャップ側が少し変なのがお分かり頂けると思います。破損したであろう、リングトップの金具から下が、同じオレンジ系の別素材で継ぎ足されています。この材料がパーマナイトか何かは分かりません。因みに入手先は日本じゃなく海外とか。

f:id:hikkigukobo:20190112221930j:plain

おまけに、大きく目立つクラックがあります。普通、昔の蒔絵万年筆はエボナイトの表面に蒔絵を塗られて作られます。しかしこの万年筆は橙色の漆ベース+蒔絵なのではなく、橙色のエボナイトから削られて作られた作品です。依頼を受けた時は、てっきりいつものようにエボナイトで作って、後はご本人がオリジナルの色+蒔絵を塗師に依頼するものと思っていました。ところがそれは嫌で、キャップも胴軸と同じくオレンジエボナイトベースで復活させたいとのことでした。現在オリジナルと全く同じ色のエボナイト棒材の入手は(製造されていない)出来ないので、やはりそっくりな色の同じオレンジエボナイトで作られたパーカー デュオフォールドJr.(1920年代)の胴軸を削って再現することになりました。尤も老舗パーカーが最初で、PILOTに限らず世界の各メーカーが次々に追随するかたちでこのカラーエボナイトを採用したに過ぎませんが・・・・・・。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222939j:plain

寸法取り等の見本となるのが改造を受けた方のキャップではなく、同じお客さん所有の同モデルのキャップ(リングトップ土台無し)です。当たり前ですが、同じダンヒルナミキのほぼ同じモデルなのでニコイチでも胴軸と並べて違和感はありません。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222015j:plain

そして前述のベース材料となる、破損したデュオフォールド・オレンジの胴軸です。表面に刻印がありますが、このダンヒルナミキはやや小柄なので、同じサイズに削れば刻印も消えてしまう計算です。実はこの作業、アンティークのセルロイドかそれ以上に、削り途中で破損するリスクが高く、成功の確率は約50%。何故なら、色の明るい単色エボナイトは新品でも脆く、割れやすいのです。それに経年が加われば尚更です。ご存知ビッグレッドのような割と大柄で肉厚の軸でも、今見るのは胴軸のネジやキャップ表面が割れている物がとても多いのが何よりの証拠ですね。

f:id:hikkigukobo:20190112222158j:plain

割り型にセットして、削りの作業に入ります。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222248j:plain

材料の脆さ故、普通の製作とは手順を変えて、先に内径削り、ネジ切りを行います。外径を削った後で、内側をやるとパリッと割れてしまいます。これはセルロイドで同じ作業をする場合も同じことが言えます。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222503j:plain

受けネジを切り終え、胴軸との装着=締り具合を確認。それが済んだら、今度は外径削りを行います。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222557j:plain

これも手順を変えて、キャップスリーヴに負担のかかる金輪の取付けをこの時点で行います。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222644j:plain

f:id:hikkigukobo:20190112222659j:plain

一番難しい、オリジナルと同じ寸法まで外側の削りが終わり、若干の余白を残して切り落とします。そしてリングトップ金具の取付けスペースを設け、オリジナルと同じ位置・内径で空気穴を4か所空けます。

 

f:id:hikkigukobo:20190112222752j:plain

表面を磨いて胴軸に取り付けて完成しました。組み合わせて見て初めて、オリジナルの材料がパーカー・デュオフォールドとは思えないほど合っていたので、やれやれです。余談ですが、この作業は3度目で成功したことになります。1度目は昨夏に行い、削り途中でクラックが発生して、替えの材料がないので一旦中断。数か月後の今回、お客さん自身で数本のパーカー・デュオフォールドのジャンク品を持ち込まれました。その時も1本失敗、続けて2本目(3度目)が今回の成功となりました。つまり今回同じ日に面前で2回製作した訳です。繰り返しますが、予備を含めた材料をご用意いただいたこと、当工房に同じサイズのテーパ金輪の在庫があったこと、そして数か月に渡るコレクターであるお客さんの熱意で完成に至ったと思います。

万年筆製作日誌2本

オーダー頂いていた万年筆を2本製作しました。今回の2本は個人のお客さん(2名)からの依頼の物です。すべてエボナイト製。

f:id:hikkigukobo:20181226234836j:plain

 

ペン先ユニットをお預かりし、形や配色、寸法は皆注文主様のデザインでした。頂いたスケッチを基に、削りました。特に目を引くのが、ベージュのエボナイトを上下2個のカナワで挟んだデザイン。

f:id:hikkigukobo:20181226234936j:plain

 

お預かりのペン先ユニットの樹脂製カバーを外し、やはりエボナイトで首軸カバーを作ります。胴軸側とこの位置で切る(分ける)のは、オリジナルのユニットに合わせたからです。

f:id:hikkigukobo:20181226235000j:plain

 

このストレート軸のデザインは、昔のウォーターマンやパーカーを参考にされたそうです。キャップ、胴軸とも外径Φ14.2mmとやや太めですが、材料の軽さもあり中々安定感があり、気持ちの良い握り心地でした。

f:id:hikkigukobo:20181226235037j:plain

 

もう1本は、PILOT エラボーの樹脂軸をベースにエボナイトで製作しました。オリジナルとほぼ同じデザイン&寸法でキャップと胴軸の外径をやや太めに、そしてCON-70をブラインドキャップを設けて操作出来るようにとのご注文でした。

f:id:hikkigukobo:20181226235113j:plain

 

ネジや内部の加工を終え、これから外径を削って形を整えます。

f:id:hikkigukobo:20181226235135j:plain

 

ブラインドキャップ側を作ります。

f:id:hikkigukobo:20181226235148j:plain

f:id:hikkigukobo:20181226235200j:plain

 

ネジ切り。

f:id:hikkigukobo:20181226235211j:plain

 

キャップ側の製作です。

f:id:hikkigukobo:20181226235224j:plain

 

クリップを取り付けて、削りは完成。

f:id:hikkigukobo:20181226235244j:plain

 

研磨が終わったところ。

f:id:hikkigukobo:20190114233101j:plain

f:id:hikkigukobo:20190114233137j:plain

 

ご注文通りのブラインドキャップを開けての、吸入操作。

f:id:hikkigukobo:20190114233216j:plain

 

軸の色やクリップに合わせ、オリジナルのロジウムメッキを研磨で取り除き、14K本来の色になりました。

f:id:hikkigukobo:20190114233159j:plain

 

 

 

 

 

首軸製作 / PARKER 45

パーカー45の修理依頼で、首軸表面が割れインクで手が汚れるという症状です。パーカー45に共通して見られる、経年によるプラスティックの痩せが原因です。

f:id:hikkigukobo:20181216222537j:plain

 

ルーペで覗かなくても、縦に大きなクラックがあることが分かります。また痩せの進行が著しいので、本来の形より先端がかなり細く変形している上、ぐにゃぐにゃに波打った状態です。ここまでになると、傷口の接着ではまず直りません。またインク滲出とは別に、ここまでの形状ですと、嵌合式のキャップが収まらないスカスカの状態。

f:id:hikkigukobo:20181216222543j:plain

 

結論、首軸のカバー部をオリジナル通りに製作するしか方法はありません。しかし形だけ同じに作っても、別の大きな問題があります。この万年筆は首軸の中にコレクターというパーツが埋め込まれています。コレクターとはペン芯を装着しカートリッジやコンバーターと繋ぐ、心臓部のようなパーツです。しかも、45のコレクターはインク溜まりの役目を持つ、無数のフィンが付いた部分と一体となっています。従ってカートリッジとの接続箇所まで作っても、フィンのあるコレクターがなければ、簡単にインクがペン先からボタ落ちしてしまい、本来の性能を発揮出来ません。その為、コレクターの流用は必須です。

f:id:hikkigukobo:20181216222622j:plain

 

↑ コレクターを取り出すには、首軸全体を削る必要があります。外側を削りつつ、なかのパーツには絶対傷をを付けないで進めなければなりません。少しでも刃物が当たれば、フィンはいとも簡単に吹き飛んでしまいます。 ↓ 無事取り出せました。

f:id:hikkigukobo:20181216224904j:plain

 

洗浄を終えたコレクターとペン先ユニット。この2点がか首軸の中にすっぽり納まっていたのですね。

f:id:hikkigukobo:20181216225042j:plain

 

首軸を製作します。ペン先ユニットはもちろん、コレクターを収められるように、内部もピッタリに穴開け加工を施します。

f:id:hikkigukobo:20181216225215j:plain

f:id:hikkigukobo:20181216225248j:plain

 

胴軸接続側のネジを切り、その上にリングがピッタリ収まるスペースを設けます。

f:id:hikkigukobo:20181216225348j:plain

 

オリジナルの胴軸との、ネジの締り具合のチェック。軽い力で安定して開閉できればOK。

f:id:hikkigukobo:20181216225427j:plain

 

今度は反対にチャッキングし、首軸表面の削り、ネジ切りを行います。

f:id:hikkigukobo:20181216225513j:plain

f:id:hikkigukobo:20181216225533j:plain

 

ペン先をユニットを仮付け。

f:id:hikkigukobo:20181216225612j:plain

 

表面全体をテーパ状に削り、痩せる前のオリジナルと同じ形まで仕上げます。途中キャップを何度も被せて、締り具合を微調整。仕上げの研磨を計算に入れて、僅かにきつめにします。ペーパー研磨後に丁度良い締り具合になるために。

f:id:hikkigukobo:20181216225706j:plain

 

先ほどのコレクターを中に取り付け、完成しました。

f:id:hikkigukobo:20181216225812j:plain