ペン先の修理・変形矯正

2本のペン先曲がりの万年筆を採り上げます。先ずはMontblanc 221から。見た目はそれほど変形している訳ではありませんが、明らかに先端が両方とも歪み、結果として引っ掛かり・インク切れを起こしていました。

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専用のヤットコ数種で曲がった左右を整えます。大まかな形に修復できたら、鉛の槌で細かい曲がりを裏側・表面と交互に少しずつ叩いて直します。

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一旦ヤスリ掛けをして工具による表面傷を磨きます。

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研磨後、バフ掛けをしました。洗浄後再び首軸にセットしたら、インクを付けて仕上げの調整を行い完了。

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次はPARKER 75 セレクトのペン先直しの工程写真です。床に落として大きく”くの字”に曲がってしまっています。

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もちろん、全く欠けない状態です。

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これは槌で叩く作業は最低限で、ほぼヤットコでのお直しでした。一応形はほぼ修復出来ましたが、工具の痕が表裏に残っています。

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 モンブランと同様に数種のヤスリで慎重に研磨し、修復痕を消していきます。 

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バフ掛け。まだ細かい傷が残っているため、目の細かいヤスリで残った傷部分のみ掛け直しを行います。

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目立つ傷がほぼ消えたら、洗浄して本体に取り付け直します。インクを付けて筆記調整を終えて完了。

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今回変形直しを行った2本、実はモンブランの方が時間と手間が掛かりました。変形が小さい方が簡単で早く直る印象ですが、そうでもないのです。小さい変形の方が大変な場合もある等、ペン先矯正は一筋縄ではいきません。ペン先が変形する要因は色々ありますが、くれぐれも硬い床への落下にはご注意ください。つらいことに万年筆って、ペン先から落ちるのです。

 

 

コンクリン、セイフティリングの修理 / Conklin Filigree

コンクリン・クレセントフィラーの大修理です。1920年代のオリジナル・コンクリンで、フィリグリー(透かし彫り)版です。お預かりした時は、唖然としてしまいました。まあ~エラい状態でした。

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サック交換の際に失敗したのか、胴軸のネジ周りが2ピースも欠損。そしてコンクリンの代名詞、クレセントバーを固定させるセイフティリング(ロックリング)も欠損という有様でした。今回のようにダブルで来るとは珍しいです。

 

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依頼主の方はもちろんこの状態で入手されたのですが、いつのオーナーが取り付けたものか、セイフティリングの代替パーツが付けられていました。恐らくちゃんとロックの機能は果たしていたと思います。何かのパーツから拾ったのか、はたまた薄い銅板から作ったのかしっかり補修されていたのには感心してしまいました。

 

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まず代替リングを取外し、破損した胴軸をカットします。そして継ぎ足すための胴軸上部を作ります。完成した姿は後ほど登場します。

 

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セイフティリングをオリジナルと同じ形に作ります。凡そ4年振りですが、工房に残っていた過去の失敗(もちろん自分💦)の残骸を見本にします。厳密には前回のクレセントフィラーは一回り大きい軸だったため、今回のために縮小版を作ることになります。手順はリングを作り、横溝の装飾を入れ、クレセントが通る溝をノコで切ります。写真はその工程を終えて、切り込んだ溝の表面に平面にすべくヤスリで仕上げているところです。

 

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仕上げの研磨を除けば、形はほぼオリジナルと同じになりました。

 

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完成。下の物が使うパーツで、上はすべて失敗(1個見本を含む)。

 

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胴軸に仮付けして見ます。クレセントレバーの穴に対し、セイフティリングの切れ込み幅が若干広く気に入らないので、一旦また作り直します。でもイメージは掴んで頂けたかと思います。 ※なおリング脱着の際は熱で膨張させてから行うのが基本です。アンティーク(オリジナル)の場合は尚更で、経年+乾燥したエボナイトのリングはこれをやらないとすぐ割れてしまいます。今残っているアンティーク・コンクリンでリングがない物は、後のオーナーやコレクター諸氏が割ってしまった事が十分考えられます。

 

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リング、ストッパー機構の修理完了しました。プレス吸入後は、このリングを回転させて切れ込みを移動させ、クレセントが下に動かないようにする単純な仕組みです。それでその名の通りセイフティリングという訳ですね。

 

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先に作って接合した胴軸。

 

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首軸にサックを取付け、すべての修理が完了しました。

 

 

 

首軸製作 / PARKER 75

これまでパーカー75の首軸リング製作の修理は2度ばかりご紹介して参りました。しかしインク漏れや付着のもう一つの原因は、グリップ部である首軸そのものの変形や破損です。75の首軸破損、特にクラックの場合は他の万年筆のように接着で直ることはほとんどないと言えます。そうなりますと、パーツを入手して首軸ごと交換が一番手っ取り早いのですが、廃盤になって20年は経つモデル故、メーカーも対応していません。それに中古パーツ単体の入手も簡単ではありません。

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見事に大きなクラックでパックリ割れて、内部のコレクターのフィン(インク溜まり)が丸見えの状態です。これは樹脂の経年痩せにより自然に発生したひびです。まず接着では塞げません。

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ペン先ペン芯一体ユニット、前述のコレクターそしてリングを流用して首軸本体を製作する方法を採ります。取り外せるパーツはすべて外し、コレクターは削って取り出すしかありません。基本的な作業の流れは、以前ご紹介したパーカー45と基本的に同じです。

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これがコレクターという重要なパーツ。ペン先ペン芯ユニットを中で固定し、ある程度の量のインクを保持し、更にカートリッジ&コンバーターの取付け口とも一体となっています。

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カートリッジの取付け口=穿刺チューブ側から。余談ですが、パーカー75が幾ら水洗いしても、なかなか首軸内部のインクを落とし切れない理由はペン芯と別体のコレクターが入っているからです。

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首軸の製作に入ります。リング受けの外ネジ部分を切りました(手前)。

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リングを仮締め。

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ここからが45にはない指の当たる窪み加工。轆轤では加工できない形状で、丸い砥石を回転させて窪みを3か所彫ります。回転砥石に対し、首軸を手で持って当てるので、最も神経を使う作業です。手の当て方を間違えると、窪みを均等な3分割に出来ません。例えば窪み2か所の位置が近すぎると、残りの1ヵ所だけ離れた歪な形になってしまいます。折角轆轤でここまで削り出したのがパアになります。

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作った首軸を磨き、洗浄し終えたらすべてのパーツを取り付けて組み立てます。

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セッティング完了。

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モニターインクを入れ、数日様子を見て安定して筆記が出来、かつインク漏れがないことを確認出来たらようやく完成(修理完了)となります。首軸がエボナイトなので、オリジナルより強固になりました。

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万年筆製作日誌 / 竹軸インク止め式

前回に続き似たような竹風のストレート型、それもインク止め式の製作をご紹介します。竹+インク止めとなると、弊工房としましても最も製作難易度が高い万年筆の一つです。

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どの軸を製作する場合もそうですが、無垢の材料からドリルで下(した)穴をあけると結構なクズが発生します。

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4条ネジを切って、首軸を仮締めしたところ。

 

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青緑の軸も同様に。

 

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ここはパッキンユニット。

 

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パッキンとナットを入れる穴を空け、尻軸と接続させる外ネジを切ります。

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尻軸とネジで接続

 

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パッキンのナットを製作

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パッキンを入れ、先ほど作ったナットを閉めます。

 

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すべてに尻軸(一番下の節)を取り付け、胴軸が完成。

 

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キャップ側の製作。胴軸に被せる4条の内ネジを切ります。

 

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胴軸との締り具合を確認+微調整

 

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キャップ完成。次に装飾加工である、節と節の間を湾曲に削る最も困難な作業です。

 

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外径削りが完了しました。

 

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次にインク止め式に欠かせない、中芯作り。Φ3mmのエボナイトの中に、折れ防止用のピアノ線が入っています。

 

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中芯後軸をテーパ状に少しだけ削ります。

 

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尻軸内部と接続させるための、逆ネジを切ります。この工具は特注です。

 

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先ほど入れておいたパッキンに中芯を通し、そしてやっと尻軸と繋ぎます。写真はペーパー研磨を終えた状態。

 

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インク止式なので、取付けが終わったら胴軸に水を入れて、バルブ(尾栓)開封によるインク出/インク止の試験を行います。

 

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バフ掛けを行い、水洗いして完成!

 

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万年筆製作日誌 / 竹軸両用式

お得意の業者様から、竹節風の万年筆の製作をまとめて頂きました。2種類のエボナイトにカートリッジ式とインク止め式と合わせて10数本! 今回ご紹介しますのはカートリッジ式版です。

先ずは材料の棒材から、各部位のカットをします。カートリッジ&コンバーター両用式なら、キャップ・首軸・胴軸・・・といった具合に。これは竹節のデザインのみならず、普通の形の万年筆でも同じです。

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結構端折りましたが、首軸の製作から。

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竹の形に削る前に、節ごとの位置決めをします。刃先を軽く当てて、丸印のように刻みます。後は決めた溝をより深く掘り、次に真ん中をえぐるように、真っすぐな表面を弓なりに削ります。写真は竹形に削る前と後を並べたものです。

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ここで湾曲に削る刃物=キシャゲに登場頂きましょう。普通の形の軸にも使う、首軸用のキシャゲです。元々は真っすぐな形をしていた刃物ですが、首軸や竹節用にグラインダーや専用砥石で削ってこのような形に作ります。

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キャップのとば口からネジ切りを行っているところ。つまり胴軸の受けネジになります。

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ネジを切り終え、胴軸とネジで繋がった様子です。

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すべて削り終わりました。左側がキャップになります。

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キャップを後ろにポスティングした筆記のスタイル。

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削りが終わった段階では、まだ軸全体に刃物傷や材料の粉が付いたままです。

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ペーパー研磨、バフ研磨、そして水洗いを経てようやく軸が完成しました。

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セイフティ万年筆の修理(スタビライザー交換) / SOENNECKEN

 古いセイフティ万年筆(ドイツ:ゾーネケン)の修理とメンテナンスを行いました。スポイト式の相当昔の万年筆の割には非常に状態がよく、決定的な故障・破損は特に見られない1本です。お客さんからはお任せの形で、使える状態に持って行きます。修理とメンテの半々でした。

 

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胴軸下部のパッキンユニットを取り外します。ご覧のように、金属のクロスピンで留められています。セイフティ万年筆は、初期の万年筆のデザインの一つなのですが、細かい仕様の違いを除けば基本的な構造はメーカーは違えどほぼ同じでした。

 

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胴軸と尻軸の間に来るコネクター(左)内部に、シーリングパッキンであるコルクが入っています。ここで、後ろからインクが回って外に漏れないよう、シーリングされている訳です。中芯が上下しない横回転のみですが、シーリング自体はプランジャー式やインク止め式と同じになります。

 

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コルクを取り外しました。

 

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コルクの代わりに取り付けるOリングの外径に合わせ、内部を少し削って加工します。

 

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グリースを塗布したOリングを埋め込み、再び尻軸をピン止めしてパッキン交換は完了。

 

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これはキャップの天ビスを取り外した裏側です。ペン芯を固定するスタビライザーがかなり腐食しています。

 

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今の万年筆の感覚だと、キャップ内部の頂点にこんな長い針金状の物があったら、ペン先ユニットが入らないか滅茶苦茶に傷つけてしまうと思われるかも知れません。実はこれ、ペン芯裏に開けられた細い穴にピッタリとはまり、筆記以外の状態のペン先とペン芯の横揺れ防止になります。

 

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しかしここまで腐食した状態では安定感を欠き、ブレを防止する機能が働きませんので、パッキン同様に交換してしまいます。引っこ抜くと、天ビス側に取り付けられた側は、ヤリのように尖っていました(これも腐食の結果)。

 

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新しいスタビライザーを、同じ外径のピアノ線からカットして取り付けます。

 

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再び天ビスをクリップと一緒にキャップスリーヴに取り付けました。もちろん、ペン芯裏の溝穴に問題なく収まりました。すべてのセイフティ式にスタビライザーが付いているという訳ではなく、初期のモンブランや一部のメーカーです。セイフティを最初に出したウォーターマンには採用されていませんでした。

 

 

 

 

 

 

アンティーク材料からの削り出し / DUNHILL NAMIKI

お馴染みさんのダンヒルナミキコレクター(外国人)から、今回もオリジナルを見本にキャップ製作を依頼されました。

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写真はお客さんが入手した当時の万年筆の写真ですが、キャップ側が少し変なのがお分かり頂けると思います。破損したであろう、リングトップの金具から下が、同じオレンジ系の別素材で継ぎ足されています。この材料がパーマナイトか何かは分かりません。因みに入手先は日本じゃなく海外とか。

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おまけに、大きく目立つクラックがあります。普通、昔の蒔絵万年筆はエボナイトの表面に蒔絵を塗られて作られます。しかしこの万年筆は橙色の漆ベース+蒔絵なのではなく、橙色のエボナイトから削られて作られた作品です。依頼を受けた時は、てっきりいつものようにエボナイトで作って、後はご本人がオリジナルの色+蒔絵を塗師に依頼するものと思っていました。ところがそれは嫌で、キャップも胴軸と同じくオレンジエボナイトベースで復活させたいとのことでした。現在オリジナルと全く同じ色のエボナイト棒材の入手は(製造されていない)出来ないので、やはりそっくりな色の同じオレンジエボナイトで作られたパーカー デュオフォールドJr.(1920年代)の胴軸を削って再現することになりました。尤も老舗パーカーが最初で、PILOTに限らず世界の各メーカーが次々に追随するかたちでこのカラーエボナイトを採用したに過ぎませんが・・・・・・。

 

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寸法取り等の見本となるのが改造を受けた方のキャップではなく、同じお客さん所有の同モデルのキャップ(リングトップ土台無し)です。当たり前ですが、同じダンヒルナミキのほぼ同じモデルなのでニコイチでも胴軸と並べて違和感はありません。

 

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そして前述のベース材料となる、破損したデュオフォールド・オレンジの胴軸です。表面に刻印がありますが、このダンヒルナミキはやや小柄なので、同じサイズに削れば刻印も消えてしまう計算です。実はこの作業、アンティークのセルロイドかそれ以上に、削り途中で破損するリスクが高く、成功の確率は約50%。何故なら、色の明るい単色エボナイトは新品でも脆く、割れやすいのです。それに経年が加われば尚更です。ご存知ビッグレッドのような割と大柄で肉厚の軸でも、今見るのは胴軸のネジやキャップ表面が割れている物がとても多いのが何よりの証拠ですね。

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割り型にセットして、削りの作業に入ります。

 

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材料の脆さ故、普通の製作とは手順を変えて、先に内径削り、ネジ切りを行います。外径を削った後で、内側をやるとパリッと割れてしまいます。これはセルロイドで同じ作業をする場合も同じことが言えます。

 

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受けネジを切り終え、胴軸との装着=締り具合を確認。それが済んだら、今度は外径削りを行います。

 

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これも手順を変えて、キャップスリーヴに負担のかかる金輪の取付けをこの時点で行います。

 

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一番難しい、オリジナルと同じ寸法まで外側の削りが終わり、若干の余白を残して切り落とします。そしてリングトップ金具の取付けスペースを設け、オリジナルと同じ位置・内径で空気穴を4か所空けます。

 

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表面を磨いて胴軸に取り付けて完成しました。組み合わせて見て初めて、オリジナルの材料がパーカー・デュオフォールドとは思えないほど合っていたので、やれやれです。余談ですが、この作業は3度目で成功したことになります。1度目は昨夏に行い、削り途中でクラックが発生して、替えの材料がないので一旦中断。数か月後の今回、お客さん自身で数本のパーカー・デュオフォールドのジャンク品を持ち込まれました。その時も1本失敗、続けて2本目(3度目)が今回の成功となりました。つまり今回同じ日に面前で2回製作した訳です。繰り返しますが、予備を含めた材料をご用意いただいたこと、当工房に同じサイズのテーパ金輪の在庫があったこと、そして数か月に渡るコレクターであるお客さんの熱意で完成に至ったと思います。