モンブランのカートリッジ式 首軸修理 / Montblanc No 221

モンブランのカートリッジ式万年筆で、グリップ部分の内部が折れて使えないと言うご相談がありました。歴代モンブランで日本でもポピュラーな通称3ケタ(1970年代)シリーズの1つです。このシリーズで破損するのは、ほぼ首軸表面のひび割れか今回のコネクターパーツです。首軸側と(インクを交換する時に開ける)胴軸側を繋ぐ、大切な部品です。ここが折れれば握って書く事が出来ません。送られて来た時点で、真っ二つに破損したこのアクリルパーツは、上部が首軸内部に残ったままになっていました。

首軸フード内に残った方も取り出したところ。

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接着ではお直し出来ないため、同じ透明アクリル材から削り出して製作します。

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ネジを切ったところで、オリジナルのフードを付けてネジの締まり具合を確かめます。

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ネクターが完成しました。この小さなパーツにかなりの機能が集約されるので、見た目以上に製作は困難でした。首軸フード部と胴軸をネジできっちり繋げられるのはもちろん、カートリッジ&コンバーターを定位置でオリジナルと違和感ないように取り付けられ、且つインクが通るので漏れないようにもしなければなりません。

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首軸に取り付けて、インクを吸入してインク漏れしないかをチェックします。ところで見えているネジは、カートリッジ式にはとても珍しい4条ネジ(いわゆる早ネジ)。この小さなコネクターパーツに多条ネジを切るのも、やはり大変です。

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オリジナル程の透明感はありませんが、何とか丈夫に日常使用に耐えられるようにはなってくれたようです。機会があれば、同じ3ケタシリーズのフード部が破損した例(修理)をご紹介したいと思います。

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