前回の修理から丁度1年後に、同じモンブラン 139 の胴軸製作の依頼がありました。
その前回がこちら ☟
内容がほぼ同じなので、解説と写真はかなり端折ります。
大きな違いは今回の破損品はロングインクビューだったことです。オリジナルの胴軸外ネジに数か所のクラック&欠けがある状態でした。黒と透明、2種のセルロース材を使い、切削で代替の胴軸を作ります。
インク汚れと経年によりほぼ真っ黒だった胴軸の内面を磨いて、本来の色を確認します。染色による色の再現のため。オリジナルの色が分かったのは良いとして、現れたロングインクビューはほぼすべてメッシュ状の浅いひびに覆われていました。例えネジ箇所が破損していなくても、より大きなひび割れによる破損は時間の問題だったのではないでしょうか?
染色再現した新造の胴軸は、やや明るいですね。これも破損したオリジナルの胴軸が製造当時はもっと明るかった(と推察)点、今回作った方もインクを入れて使ってゆくうちに濃く変色する点を考慮しての再現でした。
染色後の乾燥、胴軸の膨張収縮に丸一日寝かせてからすべてのパーツを取付けます。これまた新たに拵えたピストンシールを取り付けて、完成です。
前回の#139と作業そのものはほぼ同じですが、ロングインクビューはより手間がかかります。透明セルロースの内面の削り、傷取り研磨は可視面積が広いほど仕上げに時間がかかるからです。