今回はコンバーターの修理をご紹介します。コンバーターも消耗品と言えるので、修理して使えるようにする機会（ご依頼）はとても稀です。しかし今回のウォーターマンCF用のように、現在入手出来ないとか、廃盤規格の場合は修理して使えるようにせざるを得ません。CFとはウォーターマンの1980年代以前のカートリッジ／コンバーターの規格で、まず80年代にコンバーターの製造販売が終了、CFカートリッジも90年代末にカタログから消えました。因みにオリジナルのコンバーターを中古等で入手出来たとしても、ゴムサックの中押し式のため、残念ながらほとんどは経年により使えません。
取付け口（コネクタ）、サック、プレスバーを取り外しました。
上のように綺麗に取り外せなかった例。取付け口を壊してでも分解します。どの道、無傷でもこのコネクタは使わないため問題ありません。ここはメタルの枠をゴムで覆う形で作られています。
こちらは樹脂で新調したコネクタ。実は全く同じ寸法ではなく、サック取付け箇所はやや細めに削って作りました。オリジナルと同じ外径にすると、サックを取付け後、コンバーター本体に収まらないのです。
腐らないシリコン製のサックを装着！
サックの接着剤が乾燥したら、万年筆に取り付けて完了です。このCFのショートサイズのコンバーターで約0.5cc吸入しました。今日の一般的なヨーロッパタイプの８割程度になるのでしょうか。
こちらはCFの中～大型万年筆用のコンバーター。こちらも同様にシリコンサックに交換しました。 ※モデルはジェントルマンのMKⅠ。
中型サイズのコンバーターを同じように修理して使えるようにします。
取り外したコネクタ。万年筆側の穿刺チューブに挿してもスカスカで安定しないため、こちらも同じ形に作る必要があります。
サックをカットして仮付け。まだ接着剤は塗布していません。
水で吸入量を確認します。
工房在庫の物を含め、数本まとめて直しました。
CF規格の万年筆をお持ちでお困りの方、又は今後入手予定の方は当工房へご相談ください。メタルのボディ、プレスバーのパーツが無事であれば十分直して使えます。
