インクビュー付き万年筆の胴軸作り② / Pelikan 101N Lizard

苦手な梅雨がやって参りました。あまり表に繰り出せないこの時期こそ、仕事を着々とこなしたいものです。

今回の修理の内容は、2017年10月の記事と同じ内容です。つまりそれだけ修理の需要のあるモデルといえます。

hikkigukobo.hatenablog.com

 

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ご覧のように、セルロイドの胴軸が痩せて大きなクラックがあります。またキャップを受ける外ネジの外径が0.3ミリほど狭くなり、ほとんどキャップを回せません。

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インクビュー付きの胴軸を製作するにあたり、流用する首軸、胴スリーヴを慎重に取り外します。仕方ないですが、首軸をゆっくり外しつつもさらに崩壊は進み、新たなクラックが発生し、分離したセルロイドもポロっととれました。余談ですが、どんな事があってもここは絶対に外さないでください。製造時に接着されているため、状態の良い100 / 100Nでも90%以上の確率で割れてしまいます。

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作業開始です。外径が近いアクリル棒をカットします。

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オリジナルの胴軸を見本に、忠実に削って再現します。ネジは合計3か所切ります。①首軸受け ②キャップ受け ③尻軸(吸入機構)受けです。特に③は左(逆)ネジなので、轆轤用のクシガマを使わず探して入手した専用工具を使います。

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削りとネジ切りが終わったところで、首軸を閉め、胴スリーヴとの”合わせ”をします。若干きついぐらいに削って置いて、ピッタリ奥(下)まで収まるように、また少し削って微調整を繰り返します。

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端折りましたが、ガスケット交換をして一旦吸入機構を取付け、インク(水)の吸入・排出の試験を行っています。それが終わったら、磨きに入ります。先ずは耐水ペーパー研磨から。

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そしてバフがけ。バフ及び研磨剤を替えながら、粗がけ、中仕上げ、そして仕上げの3段階行って、ようやく傷が取れて輝きが出ました。

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オリジナルのインクビューに近い配合をした染色液を作り、染色しました。ポイントは現状の再現ではなく、インク汚れや経年による変色を取り除いた、新品当時の色を想像しての配合です。この色を出すのに4色の染料を使っています。

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修理完了しました。下は割れたオリジナルの胴軸です。

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