ボールペンの装飾部分が一部紛失したため、埋めて欲しいというご依頼を頂きました。
デルタのヴィア・ヴェネットです。欠損したリングは、キャップトップのドーム型の白い装飾と同じ材質&色合いだったようです。
元からあったカゼイン製のリングが割れて完全に無くなっているため、深い溝だけが残された状態でした。
溝になった箇所が埋まれば修理方法はお任せ頂けるとの事でしたが、折角だから同じ白系の樹脂で埋めるのが一番です。
元のデザインを古いカタログで調べ、たまたま持ち合わせていた白いアクリル材を削って、代用パーツを作ることにしました。オリジナル(キャップトップ)のクリームがかった色よりやや白いですが、白系はこの材料しかありませんでした。
ほぼ同じサイズのリングが出来上がれば、それを嵌め込めば何とか完成します。しかし、オリジナルはさらに縦筋模様があるようです。これまたトップのドーム部分も同じ。その縦筋模様を付けるのに、ローレットを取り付けた専用工具を使います。ピッチはやや粗い物を使います。
製作・取付けが終わりました。
前述の通り、欠損したオリジナルはカゼインで作られていたようです。
カゼインは色合いが象牙のような乳白色で温かみがある、とても魅力的な樹脂です。
その反面、収縮で割れやすいため、このように近年のペンでも破損して外れてしまうことがあります。