修理日誌 透明鞘の製作・復元 OMAS Limited Edition Harmonia Mundi

修理依頼品:オマス OMAS

リミテッドエディション ハルモニア・ムンディ x 2本

①チタン

②18Kソリッド ホワイトゴールド

 

オマスの同じデザインの限定万年筆2本をお直ししました。本体軸はチタン、18Kソリッド(ホワイト)ゴールドの2種類で、それぞれの胴軸&キャップが透明アクリルらしきカバーで覆われたストレートなデザインです。その4点の外筒パーツすべてにクラックや擦り傷が付いてしまっています。

※オーナー様からは、ビス留めされたすべてのボディパーツやクリップが取り外された状態でお預かりしました。

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チタン製リングを持つのは、18Kソリッドゴールドの軸。反対に金のリングはチタン軸のカバーになります。見事にビス穴周りからすべてクラックが発生してしまっています。

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この透明外筒と同じパーツを作ることが今回の修理依頼です。

先ずは接着されたすべてのリングを、特殊な工具で取り外します。

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とにかくアクリル切削は常にクラック破損のリスクを抱えるため、オリジナルとは別の素材を使って作ります。これはお預かりする前に、依頼者様にご説明済みです。

何度か採り上げた、透明セルロースを使います。アクリルより柔らかいものの、割れにくいのが最大の特徴です。

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削ってほぼ形が出来上がった代替パーツたち。失敗を含めると、必要数の倍以上は作りました。主に穴位置のズレや磨きで落とせない傷の付着でした。精密な穴開けだけは、卓上フライスのお世話になりました。

余談ですがこれら2種類の万年筆、透明外筒の寸法や穴の位置、ビスのサイズなど皆微妙に異なります。ですから同じ物を2本ずつ作ればよい、という訳にもいきませんでした💦

因みにチタン軸のビス脚外径はΦ1.6mm、18Kゴールドの方はΦ1.2mmでした。

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透明セルロース版の外筒、すべてが完成しました。ビス頭を除く外径は約Φ17mmと、モンブラン149のキャップとほぼ同じ太さです。

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リング、ビスともにそれぞれチタン色、金色で統一された非常に凝ったデザインですね。

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