苦手な梅雨がやって参りました。あまり表に繰り出せないこの時期こそ、仕事を着々とこなしたいものです。 今回の修理の内容は、2017年10月の記事と同じ内容です。つまりそれだけ修理の需要のあるモデルといえます。 hikkigukobo.hatenablog.com ご覧のように…
「首軸からインク漏れがして手が汚れる。メーカーに出すと胴軸総取り換えで、料金も高い」というご相談でした。この年式でもう首軸割れかなと思って現物を見ると、クラックらしき個所は見当たりません。 しかし仰るように、触れていると手がインクで汚れまし…
古いプラチナのレバーフィラーの”レバー外れ”をお直しします。茶色いセルロイド製で戦後間もなくのモデルのようです。 中押し式、カートリッジ式普及前まで日本の万年筆のほとんどはレバーフィラー、通称”てこ式”でした。ゴムサックがあるサイクルで駄目にな…
シェーファーの永遠のオーナメントであるホワイト・ドットが欠損したボールペン。そのホワイト・ドットの製作依頼です。見事にポロっといっちゃってます。アンティークから今日のモデルまで、ホワイト・ドットは見た目にはそんなに違いはないようにも思えま…
キャップの破損したローラーボールのキャップ製作依頼です。英国のジュエリーブランドのペンのようです。 胴軸のネジ受けのネジ部分を切っているところです。 切り終わって、胴軸がスムーズに収まるか確認します。つまりキャップの開け閉め。 クリップのデザ…
ブルガリが自社ブランド筆記具の販売から撤退したそうで、修理も受けられなくなりました。ご依頼のボールペンは、床に落とした際、本体と口金が外れてしまって元に戻せない状態です。ネジが噛み合わず、この部分に再びネジを設けて接続する修理を行います。 …
万年筆の修理で特に重要な作業の一つが、折れたり曲がったりしたペン先の修正。今回は一般的な、板金作業を採り上げます。「万年筆を落としてしまい、ペン先が曲がって書けなくなった」というご依頼は必ずあります。このような事故は、残念ながら少なくあり…
モンブラン 644N (1950s) のキャップ受けリングを、オリジナルと同じ形に作って下さい、と言うご依頼を受けました。アンティーク・モンブランに詳しい方、このモデルがお好きな方は、写真で少し違和感を覚えるかと思います。そう、胴軸と首軸の間のクランプ…
筆記具工房では修理だけではなく、一部業者様向けに試作を含めた製作も行っております。今回ご紹介するのは、個人のお客さんからの依頼で作りました、万年筆のキャップと胴軸です。国産メーカーの中型サイズ万年筆をベースに、少し太い軸をエボナイトで製作…
当ブログでは初めてペンシル(メカニカルペンシル)の修理を掲載します。モンブランの20年以上前の回転式ペンシル(ツイストメカニズム)で、キャップチューブ側を右に少し回転させると芯が出る仕組みです。ところが、胴軸とキャップチューブを繋ぐネジが緩…
普段修理を中心に採り上げて参りましたが、ペン先の調整も決して少なくない大切な業務の1つです(と言うよりも、シャッターチャンスがなかなか無いのです。まして、持込みのお客さんの前で一々写真を撮るのも憚られます) 実際、最近はペン先調整のご依頼も…
ボールペンの修理で多いのが、落として破損してしまったケースです。特に外国製の高級品ほど、落とした時の破損率は高いです。本体の材質に重いメタルが使われるのがほとんどで、幾らメタルのボディが頑丈でも、破損するのは決まって内部の樹脂パーツです。…
アンティーク万年筆によく見られる、キャップ縁(へり)部分のクラック修復依頼です。このモンブラン No.149の最初のシリーズ(1950年代)は、ボディがすべてセルロイドで作られている事と経年の劣化により、特にこの部分が割れやすいのです。 ハの字に大き…
パーカー75 の首軸からのインク漏れを直します。「書いていると、どうしても手がインクで汚れる」とお問い合わせがあった時、”ああ、後期のFRANCEモデルかな”と思ったら、意外や前~中期型のUSAモデルでした。パーカー75 は樹脂の首軸先端にメタルのリングが…
多機能ペン(2色ボール・ペンシル)のクリップが開きすぎ、挟めなくなったという修理のご依頼です。オロビアンコというブランド。 真横から見るとこんな感じ。何の事はないように見えますが、事はそう単純ではありません。クリップを曲げ戻して直そうにも、…
モンブランの1999年発売の作家シリーズ、マルセル・プルーストの万年筆です。「過去に首軸が割れてインク漏れした物を、応急処置で表面に漆塗りして貰い、それが再びインク漏れするようになってしまいました。こことは別に後ろからのインク漏れもあります。…
前に旧規格のインク止め式万年筆の修理をご紹介しました。 hikkigukobo.hatenablog.com 今回はその時の予告通り、一般的なインク止め式のコルク交換の修理をご紹介します。モデルとなる依頼品は、酒井栄助氏(作)の最も代表的なバランス型黒塗り軸になりま…
ウォーターマンのレディ アガサという一昔前の小型万年筆。カートリッジ交換で首軸を胴軸に取り付ける時、収まりが悪いとのご依頼です。 それもその筈、本来ここには金属製の嵌合リングがある筈が見事にありません。1990年代のシリーズで、現在のウォーター…
国産のカートリッジ式万年筆の修理です。胴軸とキャップは恐らく「黒檀」。 「首軸が胴軸に固定できず、回しても閉まらない。買ったお店(都内の有名専門店)から、『首軸部品を取り換える必要があります』と言われました」というご相談内容の国産万年筆です…
1950年代のモンブラン146 の緑縞(セルロイド)です。 この万年筆の修理ご依頼内容は、以下の3点です。 ①胴軸がかなり曲がっているのでここ全体をなるべく真っすぐにして欲しい ②胴軸が曲がっているせいか、インクが全く吸入できない ③クリップと天ビスがぐ…
前にペリカン101Nの胴軸全体を製作する修理をご紹介しました。今回は一部製作+継ぎ足しで済むケースを採り上げます。経過写真を端折った部分もあって、少しイメージを持ちづらいかも知れませんが、ご了承ください 作業前の万年筆です。この万年筆は近年…
今回は修理日記ではありません。退屈(苦痛)な記事になるかも知れませんが、最後まで読んで頂ければ幸いです。 筆記具工房に、近く2号機になる(予定!?)轆轤がやって来ました。・・・正確には1年近く押上工房に置きっ放しだった物を、やっと引き取って来…
一口に修理と言っても、修理方法が一つしかない場合もあれば、二通り以上ある場合もあります。今回はあまりお金をかけない例をご紹介します。 ペリカンの1970年代のカートリッジ式です。カートリッジ交換をする際に胴軸を開ける訳ですが、そこの首軸側の繋ぎ…
セイフティ(安全操出し式)万年筆の修理をご紹介します。アウロラの18金張りのボディのペンダント型です。セイフティとは初期の万年筆の1つで、スポイントでインクを入れる方式です。要修理箇所は①軸内部の主要メカである螺旋部の破損(折れています)、②…
インク止め式万年筆のコルク(パッキン)交換の様子をご紹介します。今回は一般的なインク止め式ではなく、戦前のスワン(日本版)やサンエスによく見られる、コルク室の無い旧規格です。インク止め式は胴軸に直接スポイトでインクを入れ、中の中芯(ロッド…
ペリカンのアンティーク万年筆(1930年代後半)を直します。胴軸のキャップ受けネジ、丁度書く時指が当たる部分に亀裂が入ってしまった物です。内部のインクが見えるオリジナルの透明軸は、セルロイド製で非常に割れやすい素材なのです。 見事にネジを縦に割…
パーカーのボールペンの修理依頼が来ました。1990年代初期のデュオフォールドです。 お問い合わせでは、「回転して繰り出すタイプなのですが、芯が途中までしか出ない。代理店でも修理不能で断られた」との事です。デュオフォールドは現在でも発売されていま…
高級蒔絵で知られるダンヒルナミキ(1930年代)製品の修理依頼を受けました。といっても、今回は万年筆でもペンシルでもありません。つまり筆記具ではない、とても変わった物です。 この短い葉巻型の胴にあたる下側を開けると、ネジ上の縁が派手に欠損してい…
当ホームページのメニューでもご案内の通り、万年筆のペン先”癖取り”について、ご説明致します。平たく言えば、癖取り=書き癖を取り除いてニュートラルな状態に戻す事。その癖取りの度合いにもよりますが、新品でお店に売られている(に近い)状態+αを基本…
アンティーク・ウォーターマンの鏡面仕上げの銀軸です。インクを吸入しないこと、それ以外に大きな問題が・・・・・・。 胴軸の外ネジが一部大きく欠損しています。このため、首軸を挿し込んでもグラグラと安定せず、とても通常筆記ができません。 作業開始…